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情熱を持って働ける仕事を選びなさいというアドバイスをよく耳にするが、実践するのは容易ではない。自分が希望する仕事に就けない人は少なくないし、キャリアの途中で厳しい評価を受けたり、解雇されたりする可能性もある。筆者は、趣味やボランティアなど仕事以外の場で情熱を注げるものを見つけると、それは私生活だけでなくキャリアにもよい影響をもたらすと主張する。


 情熱を持てる仕事を追求しなさい、とよく言われる。少なくとも米国では、学生時代にも、そして仕事の世界に入っても、この類いのアドバイスをさんざん聞かされる。大富豪で投資家のレイ・ダリオも最近の著書『PRINCIPLES(プリンシプルズ)』で、「情熱の対象と仕事を一致させよ」と助言している。情熱を抱けるものを仕事にすることこそ、成功への道だというわけだ。

 こうしたアドバイスの影響もあるのだろう。最近の調査によると、米国の若者たちは、金儲けや結婚よりも、情熱を抱ける仕事に就くことを重んじている。ティーンエイジャーの回答者たちは、やりがいのある仕事を見つけることを、結婚相手を見つけることの3倍近く重要と考えている。

 しかし、多くの人はそれを実践できずにいる。現実には、情熱を追求できる仕事ばかりではない。それに、ほとんどの人は大切にしたいことがいくつもあり、そのすべてを仕事の場でやりたいわけではない。

 情熱を追いかけることが幸福感を高めるのは事実だが、どこでそれに取り組むかはそれほど重要でない、という研究結果が続々と報告されている。つまり、必ずしも仕事の場で情熱を追求する必要はないらしい。というより、いくつかの研究によれば、仕事以外の場で情熱を追求すると、キャリアと私生活の両方に好ましい影響があるようだ。