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これから親になろうとする人たちは、生命力と可能性に満ち溢れている。しかし、辛い結果を迎えることも、けっして珍しくない。女性の4人に1人が流産や死産、新生児死亡などの「妊娠喪失」を経験する。それは本人だけでなく、パートナーの心にも深い傷を刻む。彼らが職場復帰を果たすときに必要以上の辛さを味わわずに済むように、自分自身をどういたわればよいのか、またマネジャーや同僚はどう振舞うべきなのだろうか。


 我が子がこの世界に生まれてくるのを待つ日々ほど、生命力と可能性に満ちた時間はない。子どもの誕生はすべての始まり。それは死と最も遠い瞬間だ。

 しかし、ときに運命が暗転する。

 女性の4人に1人は、流産や死産、出産直後の新生児死亡などの「妊娠喪失」を経験する。流産は、すべての妊娠の約25%で起きる。3回以上流産する習慣性流産を経験する女性も約1%いる。死産も約1%の確率で起きる。 
 
 妊娠喪失が少なからず起きていて、当事者が大きなダメージを被っているにもかかわらず、この問題が話題に上ることはほとんどない。その代償は、子どもを失った人が職場に復帰するとき、ひときわ大きく感じられる。

 彼らは、職場で突然こみ上げる悲しみの感情に対処しなくてはならないだけでなく、彼らの苦痛について何も知らなかったり、理解不足だったりする同僚たちとのやり取りで傷つくことも少なくないのだ。 
 
 本稿では、妊娠喪失のあとで職場に戻った人たちがどのような経験をするかを説明し、当事者が辛さを軽減できないまでも、必要以上の辛さを味わわずに済む方法を紹介したい。また、上司や同僚が当事者の力になる方法も提案する。