やみくもに製造部門を外部化してきた罪

 どのように製造サービスを調達するのか、アメリカ企業の大半が、国内に生産拠点を置くことの戦略上の意義をいっさい考慮することなく、一部の財務指標だけで決めている。すなわち、新工場の提案を他の投資案件と同じように扱い、ROIに基づいて厳格に判断している。

 その議論では、税制、法規制、知的財産、政治の状況への配慮も重視されるかもしれないが、上層部は製造部門を主にコスト・センターと位置づけており、アウトソーシングや海外移転が自社のイノベーション能力に及ぼすであろう影響を軽視している。それどころか、製造活動を企業のイノベーションを支える仕組みの一部と見ることはまずない。

 この結果、これまで我々が論考で述べてきた通り[注]、製造拠点は軒並み海外へ移されてしまった。