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有害なインセンティブと不均整な利益配分
アメリカ資本主義は、ここ30年間をかけて、ある一つの強力な考えの下で静かに変容してきた。それは「金融市場は、業績評価と報酬制度の体系化に適したツールである」というものである。
アメリカ社会におけるインセンティブと変動報酬の性質および水準は、経営者に対する株式報酬と投資マネジャーに対する強力なインセンティブ契約により、資本市場の需要と供給の両側で劇的に変化した。
1990年、アメリカ企業の経営者の報酬全体に占める株式報酬の割合は20%だったが、2007年までに70%へと膨らんだ。一方で、資産運用業界も、市場連動型報酬をその強みとする(と彼ら自身が主張する)プライベート・エクイティ・ファンドとヘッジ・ファンドの台頭によって、大きく様変わりした。これらのファンドでは、「2と20」ルールが標準となっており、運用中資産の規模(その2%)と金融市場で測定される投資マネジャーの運用成績(その20%、すなわち「成功報酬」)が報酬に連動するのである。