男女の資産の差は3倍以上に上る
米国における通年雇用の女性の収入は、男性の収入を100とすると約82である。しかし資産について見ると、女性の保有額は約32にすぎない。黒人女性やラテンアメリカ系の女性では、格差ははるかに顕著である。
こうしたデータはけっして目新しいものではないが、この問題をどのように話し合い、解決策を練るかについては新たなアプローチが必要だと、サスンダ・ブラウン・ダケットは語る。彼女はチェース・コンシューマー・バンキングのCEOであり、金融業界で最高位の役職に就いている黒人女性の一人である。彼女は、恵まれない地域社会を中心に、数百万人の金融リテラシーと経済状態を改善することに取り組んでいる。その最新の一例は、黒人女性への経済機会の拡大に的を絞ったものだ。
ダケットは、「資産の男女格差や人種格差を話し合う際に、『これは難しい問題ですが』と切り出すと、解決に失敗してもしょうがないと認めるようなものです」と語る。「それ以外のビジネスの指標について、そんな言い方をすることはありません。『難しい』と考えると、解決策を見つけ出すためには寝食を忘れ、心血注がねばと大げさなことになります。格差をなくす方法を考える時に、『難しい』という思い込みを排除すれば、これまでの流れを変えることができます」