女性の権限と影響力を拡大するための戦略

 2010年1月、シアトル近郊の自宅に届いた『エコノミスト』誌の表紙は、「リベット打ちのロージー」として知られる、力こぶを叩く女性のイラストだった。特集記事は勝ち誇ったように「最近は明るい出来事が少ないが、そんな中で歓迎すべき話題がある。数カ月後には、米国の労働人口に占める女性の比率が50%の大台を超えそうなのだ」と謳っていた。これを祝して、ロージーの有名な掛け声は「やればできる!」から「やった!」に変わっていた。

 その心意気は買うものの、勝利を宣言するのは時期尚早だと感じた。米国では2010年に、女性が全労働人口に占める比率は50%の節目に達したが(現在では非農業部門就業者の49.8%を構成)、彼女たちは新たに進出した職場でも、昔ながらの不平等から逃れられずにいる。いまなお男性より収入が少なく、昇進への道は狭く、意思決定権も平等には与えられていない。