テクノロジーを賢く利用する
両親と子どもなど、複数の人間が長期にわたり家にいることになる可能性があるなか、テクノロジーをうまく使って、全員が満足できる環境をつくる方法を考えよう。
大人が仕事をする時間を確保するためには、子どもたちにいつも課しているテレビやコンピュータの利用時間制限を緩和する必要があるかもしれない。小学生以上の子どもなら、学校の勉強を家でやるためにテクノロジーを使う必要があるかもしれないと覚えておこう。
全員が同時に使える数のコンピュータやタブレット型端末がない場合、あるものでみんなが必要なことをできるようにする方法を考えよう。いまのうちに学校で使われているテクノロジーシステムを理解し、あとで慌てるような事態がないようにすること。
自宅の技術的キャパシティを把握して、全員が必要なときに必要なことができるよう、協力する態勢を整えておこう。たとえば、あなたの家のインターネット通信速度では、子どもたちがネットフリックスを見ているとき、あなたはウェブ会議に参加できないかもしれない。
新型コロナウイルスによる学校閉鎖は、大雪の日の臨時休校とは違う。雪の日なら、親が自宅で仕事をしている間、子どもは友だちと集まって遊ぶことも多い。だが今回の学校閉鎖は、感染力が非常に強いウイルスを封じ込めることが目的だから、他人との接触機会を減らすことが基本だ。一時的にだが、テクノロジーが子どもたちの親友(そして先生)になる必要があるかもしれない。
子育ての「村」を動員する
「子どもを一人育てるには村が必要だ」という表現がある。いまこそ、あなたの「村」を意識的につくるべきだ。
検疫のレベル次第では、子育ての一部を誰かに任せることは現実的な選択肢ではないかもしれないが、お互いの負担を軽くする方法を考えよう。クリエイティブな活動をシェアして子どもたちを楽しませたり、日用品の買い物を交代でしたりといった工夫が可能だ。
筆者フリードマンのオンライン授業では、各学生がパソコンの前に座り、バーチャルな会議室で会話を交わしている。同じように、子どもたちも友だちとバーチャルに集まって遊ぶことができるだろう。新しい物事のやり方をオープンに受け入れよう。
大局的な視野を持つ
私たちは子育て中の親として、恐ろしく感じられるかもしれない時期を子どもたちがうまく乗り切れるように、リーダーシップを取るができる。この機会に、一番重要なことは何か、そして親子がチームとして協力する必要があることを話そう。今回の危機は、私たちが生きている世界が相互につながっていて、お互いがお互いに対して責任を担っていることを明らかにしている。
子どもは新型コロナウイルスに対して耐性があるようだし、感染しても高い回復力があるようだ。しかしウイルス保有者として、コミュニティの弱者(愛する祖父母や近隣の高齢者、あるいは病気から回復途中の友人)を脅かす恐れがある。
親として、あなたが何を大切だと考えているかを子どもたちに話すチャンスは、無数にある。
今回の危機は、コミュニティがお互いに助け合うことや、困っている人を見つけることの重要性を明らかにしている。また、手洗いや、大人数が集まる場に行かないことといった小さな行動が、社会の最弱者を守るうえで効果を発揮することも教えてくれる。実際に行動を起こすのは難しいかもしれないが、日々のイライラや諦めなければいけないことを、学校や会社が一時閉鎖される大きな理由の中に位置づけてみよう。
この試練のときに、私たちはリーダー役を務める親として、子どもたちに何が本当に重要かを教える、大切な授業をすることができるのだ。
HBR.org原文:How Working Parents Can Prepare for Coronavirus Closures, March 10, 2020.
■こちらの記事もおすすめします
チームのリモートワークを機能させる9つのポイント
新型コロナウイルス対策で企業が自問すべき8つの問い
新型コロナウイルスの危機に企業はどう対処すべきか