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新型コロナウイルス感染症をめぐる危機により、社会は混沌と混乱に飲み込まれている。筆者は、危機に陥るとマネジメントが過剰に、リーダーシップが過少になりがちで、それが大惨事を引き起こしかねないと指摘する。本稿では、企業幹部たちがリーダーシップを発揮するうえで回避すべき、4つの落とし穴を示す。


 すべての危機がそうであるように、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をめぐる危機も「始まり」と「中間」と「終わり」を経て進行する。そこで、過去と現在と未来をはっきり区別して考えたほうがよい。

 過去は、まだ状況が比較的安定していて、予測可能性も高かった。現在は、混沌と混乱にすっかり飲み込まれている。そして未来は、これまでとはまったく違う状況が訪れるだろう。

 そうした未来には、レジリエンス(再起力)を発揮して立ち直れる企業もある半面、大惨事に陥る企業も出てくる。いま危機の中で企業幹部やチームがどのような行動を取るかによって、その会社の運命が大きく変わる。

 現在のように危機に見舞われているときは、状況が入り組んでいて、しかも、常に変化している。そうした状況で企業幹部に求められるのは、有効なリーダーシップとマネジメントだ。

 マネジメントは、目の前の切実なニーズに対処するための活動である。企業幹部がその責務を果たすためには、迅速に選択を行い、資源の割り振りを決めなくてはならない。素早く果断な行動を取る必要がある。

 一方、リーダーシップとは、過去から現在を経て未来へと至る危機のプロセス全体を通じて、最終的に極力好ましい結果を生み出せるよう人々を導くことだ。

 そのためには、次に何が起きそうかを予測し、それに対処する準備をすることに、主たる関心を払わなくてはならない。言い換えれば、目先のことばかりにとらわれず、3段階、4段階、5段階先に持ち上がりそうな問題を先読みする必要がある。

 私たちはこれまで20年近くにわたり、きわめて重要性が高く、強いプレッシャーがのしかかる局面で、官民の組織の幹部たちが取る行動について調べてきた。その経験を通じて見えてきたのは、危機のときに、マネジメントが過剰に、そしてリーダーシップが過少になりがちだということだ。

 最良のリーダーは、過酷な状況を乗り切り、人々を救い、組織に活力を与え、コミュニティを鼓舞することができる。しかし現実には、以下のような落とし穴にはまるケースが多い。