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新型コロナウイルス感染症の流行は終わりが見えず、毎日、死者数の増加や景気の悪化を告げるニュースが大量に流れてくる。この状況下でストレスを感じるのは当然だ。ただし、それが続くと心身の健康を損なってしまう。周囲の環境はコントロールできないが、自分の精神をコントロールして、健全な状態を保つことはできる。本稿では、そのための4つのポイントを紹介する。


 いま激しいストレスを感じるのは無理もないことだ。なにしろ私たちは、新型コロナウイルスへの感染や失業に脅え、死者や景気の悪化に関するニュースをさんざん見せられ、しかも同僚や友人、家族などと切り離された状況の中で、新しい生活や働き方への対処を迫られている。

 ストレスは、度を越さなければ私たちが過酷な環境に対処する役に立つ。神経化学的・神経電気的反応が立て続けに起きることにより、集中力が研ぎ澄まされる。その結果、周囲の状況を把握し、モチベーションを高め、免疫システムの働きを一時的に強化する能力が強まる場合があるのだ。

 しかし、このメカニズムがうまく機能するのは、あくまでも数分間や数時間だけ。それ以上長い間、その状態を継続する仕組みにはなっていない。

 ストレスが高まった状態が長く続きすぎると、適応免疫系の働きが弱まりかねない。そうなると、私たちはウイルスに感染しやすくなる。

 したがって、いまこそストレスをうまくマネジメントすることが重要だ。

 いままで私が助言してきたトップアスリートたちの多くは、みずからの生理的・精神的興奮状態をコントロールできる。それと同じように、私たちも高いパフォーマンスを達成して、よい人生を生きるために、心理的スキルを活用して好ましい興奮状態を実現すべきだ。

 ストレスに対処するために自分の精神をどのように活用すればよいかを知っている人は、過度な興奮状態に陥ることを避けつつ、適度に「スイッチ」が入った状態になることを目指す。

 私たちは、周囲の環境をコントロールすることはできなくても、自分の精神はコントロールできる。あなたは、自分が比較的落ち着いた精神状態にあると思っているかもしれない。しかし、それでも頭に入れておくべきことがある。それは、ストレスという強力な敵は目に見えない、ということだ。

 私たちは、いつ、どこで、ストレスによるダメージを被っても不思議でない。この厳しい時期を乗り切るために、適切な精神的スキルを活用し、好ましい手法を実践すべきだ。