呼吸

 マインドフルネスの瞑想法を実践することで、自分の認知や感情から距離を置き、物事をありのままに見られるようになる。たとえば、不安を感じるのではなく、自分が不安を感じていることを認識できる。この両者の違いは、きわめて大きい。

 朝、目覚めた瞬間から、この習慣を実践しよう。

 私が共同創業した会社コンピート・トゥ・クリエイトの同僚で、元オリンピック選手のコートニー・トンプソンは、最近の動画の中で、毎朝みずからの精神を整えるためのアドバイスを送っている。朝起きた途端にスマートフォンに手を伸ばし、ニュースをチェックしたり、ソーシャルメディアを見たりする代わりに、以下のことを実践してみよう。

(1)長く深呼吸(10秒以上)して息を吸い込み、そのあと、それより時間をかけて息を吐き出す

 このとき、感謝の思いを表現しよう。ただし、これを形だけの上っ面の作業にしてはならない。

 あなたの周囲に成長を遂げている人がいるだろうか。あなたの家族は健康だろうか。そうしたことをしっかり感じるようにしよう。ただ頭で考えるだけではなく、考えることと感じることを組み合わせなくてはならない。

(2)その日、「どうするつもりか」を決める

 といっても、目標や「やることリスト」の類いの話をしているのではない。「今日、自分がどんな人間でありたいか」を決める。どのような行動を取るかを誓うのだ。

 誰かの力になるつもりか。家族、友人、見知らぬ人、同僚のために落ち着いた態度で過ごすつもりか。この活動の狙いは、想像力を働かせて、最高の状態の自分を思い描くことにある。

(3)足を床につける

 少しの間、足の裏で床を感じてみてほしい。自分が立っている場所を意識しよう。これは、いまこの瞬間を生きるという姿勢で新しい1日を送るために、心身の準備を整える最初の一歩だ。

 いまどんなことが起きていようと、みずからの思考(少なくとも、自分が自覚できている思考)は、自分でコントロールできることを忘れてはならない。1日の最初の思考をどのようなものにするかは、自分自身で決められる。しっかり考えて選ぶようにしよう。

 1日の間に集中力が失われたり、不安が湧いてきたりしたときは、8 分間の時間を取って呼吸に意識を集中させよう。頭の中に浮かぶ思考を、そのまま判断を加えずに認識するのだ。

 頭に浮かんだ思考によって集中力を奪われたときは、再び呼吸に意識を集中させるよう努めよう。気が散ったときは、次の呼吸に神経を集中させる。

 これに関しては、やり方を間違う危険はない。正解も不正解もないのだ。あなたも実践してみよう。