●「休眠状態」の人間関係を利用する

 ネットワークづくりは、人と人が接触するコンタクト・スポーツであり、ロックダウンの最中では難しい。現在の状況で、自分を再発見するために必要な人間関係を新しく構築するにはどうすればいいのか、多くの人が戸惑っている。相手も困難な状況を乗り越えようと苦労しているかもしれないのに、新しい関係を築けるだろうか、と。

 キャリア・チェンジのためのネットワークづくりの黄金律は、基本的には、最も弱いつながりを利用することだ。つまり、よく知らない人や、それほど頻繁には連絡を取っていない人との関係を深めて、自分が知らないことを学ぶ機会を最大限に広げるのだ。

 友人や家族、親しい同僚との関係、すなわち強いつながりの問題点は、彼らが知っていることは、あなたもすでに知っているということだ。彼らがあなたを助けたいと思っていても、あなたの将来について独創的に考える手助けにはなりにくいだろう。むしろ、昔から知っているあなたのことを型にはめて考えようとするだろう。

 ただし、弱いつながりにも落とし穴がある。彼らは強いつながりよりも、新しい有益な情報やリソースを提供してくれる可能性は高い。その一方で、あなたを助けたいというモチベーションは、おそらく弱い。

 特に、彼ら自身があなたと同じように、自分の能力を広げようとしているときは、そうしたモチベーションは低いだろう。したがって、不確実な時期は、献身や信頼、義理に基づく強いつながりに頼ることが多い。

「弱いつながりか、強いつながりか」という難題を回避する一つの方法は、「休眠状態のつながり」を利用することだ。これは、かつては親しかったが、約3年かそれ以上、連絡を取っていない関係を指す。

 ある実験では、200人以上のエグゼクティブが、少なくとも3年は疎遠になっていた人と再び連絡を取り、仕事の重要なプロジェクトに役立つような情報や助言を求めた。その結果、休眠状態のつながりから得た助言は、現在進行形の人間関係から得たものより、価値が高くて新鮮だと感じる傾向が見られた。