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新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる不安は収まるどころか、いっそう拡大している。医療機関だけでこの問題に対処するのは限界があり、このままではメンタルヘルスケア・システムが崩壊しかねない。精神的な負担を抱える人たちをサポートするために、私たち一人ひとりにできることはある。ただし、そのためにはまず、あなた自身を十分に労わる必要があると筆者らは言う。


 企業や学校の閉鎖、先行き不透明な経済、世界中で猛威を振るうパンデミックなど、不安は広まるばかりだ。私たちは、医療システムが極限まで追い込まれるのを目の当たりにしたが、いま目にしている悲しみやトラウマは、第2の「不足の波」を予感させる。

 メンタルヘルスケア・システムは、いずれ限界に達するだろう。フィジカル・ディスタンシング(身体的距離)が長引くにつれて生じる、孤立、孤独、鬱、不安などのメンタルヘルスへの影響を軽減しなければ、急激な上昇カーブによってメンタルヘルスケア・システムが崩壊しかねない。いまこそ、この第2の危機を回避すべきなのだ。

 ほとんどの人は、過酷な医療現場の最前線にいるわけではない。だが、私たちの誰もが感情的なサポートを必要とする人へのファーストレスポンダー(最初の対応者)になることができる。

 そのニーズは、あらゆる産業セクターや経済セクターに存在し、身体的に健康な人、自身や愛する人が病気の人にも存在する。家族、親族、コミュニティ、仕事でつながっている人や集団の中にもニーズがある。

 パンデミックによる得体の知れない恐ろしさと、先の見えないアブノーマル(異常)なニューノーマル(新常態)の中で、ほとんどすべての人が他者とつながり、サポートし合う機会を必要としているのだ。

 経営幹部を対象にコーチングを行う筆者らは、メンタルヘルスのリソースをどうすれば最大化できるかを常に考えている。筆者らの日々の仕事の大部分を占めていると言ってもいい。

 どうすれば自己のメンタルヘルスを高め、感情の貯水池(エモーショナル・レザボア)を深めることができるのだろうか。次のことを提案したい。