(3)「調子はどうですか?」と尋ねよう
毎朝のように行なわれるビジネスパートナーとのズームミーティングで、私たちはすぐ、その日の最も差し迫った議題に入ろうとしてしまう。「調子はどうですか?」という質問を「元気です」の一言で軽く流し、さっさと「やることリスト」に移ろうとするのだ。
いつもの日常なら社交辞令のようなものだが、いまの私たちに日常はない。相手のメンタルヘルスの体温測定をするために、この質問を活用しよう。それは、私たちの習慣にはないことだが、返ってくる答えに真剣に耳を傾けるということだ。
誰もが悲しみを抱えている。誰もがトラウマを経験しており、話し相手を必要としている。誰かに聞いてもらえていると感じることが必要なのだ。
友人、同僚、誰と話しているときも、相手の答えを最後まで聞き、そしてあなた自身の激動のコロナウィルス体験を語ろう。同僚と同じ感情の浮き沈みを共有する必要はないが、相手の状況に耳を傾けることは重要だ。
相手が正直になるのを待とう。言葉を選んだり、気持ちを整理したりするのに時間が必要な人もいる。沈黙も受け止めよう。私たちは皆、過剰な負荷を抱えているのだ。
(4)よいこと探しをして、声に出して伝えよう
ふだんはあまり人を褒めないという人も多いだろう。人を評価するのは、その人より頭のいい人がすることだと思ったり、他の人を褒めると自分が劣っていることを認めているように感じたりして、躊躇することもあるだろう。
人は欠乏感を抱いているとき、他者に対するサポートを控えようとする誘惑が高まり、競争心や、場合によっては敵意さえ沸くことがある。だが、いまはそんなときではない。いまこそ、情熱的になる勇気を持つときだ。
感謝の気持ちを表し、人を褒め、どんな小さな勝利でも大声で叫ぼう。よいことを見つけたら、黙っていないで声に出して言おう。
大きな勝利は少ないかもしれないが、誰もが肯定的なフィードバックを必要としていることに変わりはない。仕事仲間と一緒に、部下、同僚、上司、さらにはライバル、競合、過去のパートナーを励まそう。誰かのことを素晴らしいと思ったら、それを本人に伝えよう(その人はいまあなたのサポートを必要としているはずがないと思うかもしれないが、それはおそらく間違っている)。
このパンデミックを乗り切る道のりは、まだ長く険しい。けれども、私たちの精神的・感情的な健康への打撃をできる限り抑えることで、今後の山や谷を乗り越えやすくなる。
近年、私たちは職場を含め全般的なメンタルヘルスにおいて、飛躍的な前進を果たしてきた。身体を病んだ人にはそれを救う最前線の人々が必要だが、感情的な側面はすべての人に影響を与える。
私たちは誰もが、感情のファーストレスポンダーを必要としている。自分自身のケアを十分にしてほしい。私たちには、あなたが必要なのだから。
HBR.org原文:To Take Care of Others, Start by Taking Care of Yourself, April 28, 2020.
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