今回実施した調査には、5大陸にまたがる23ヵ国から1510人が参加した。その内訳は、HR部門のシニアマネジャー、ディレクター、バイスプレジデント(61%)、財務部門(28%)、経営幹部(10%)である。
私はこの調査の設計および分析、レポートの支援に携わった。エグゼクティブは全員、売上高1億ドル以上の企業に勤めている。結果の詳細は、こちらに掲載されている。
HRがアナリティクス重視に移行していることは明らかだったが、この調査で、ここまで高度に洗練されたアナリティクス活動が表出するとは予想していなかった。以下、その要点を挙げる。
・HR部門に所属する回答者の51%は、予測的分析や処方的分析ができると答えた。かたや、財務担当者でこうした先進的な分析ができると答えたのは37%にとどまった。
・「現在、自社のHR部門は高度なスキルを持っており、将来の人員計画(たとえば、どんな人材が必要か)を決める際にデータを駆使している」に89%が同意、あるいは強く同意した。
・「現在、重要な役職の離職率を予測することに強い自信を持っている」に、94%が同意した。
・「現在、従業員のキャリア開発上のゴールを正確かつリアルタイムで把握できている」にも94%が同意した。
・「次に挙げるうち、どの分析方法を使っているか」という質問に対し、「AI」という答えが最も多く31%だった。さらに、AIを活用している参加者に詳しく尋ねたところ、最も多い答えは「離職モデルを分析して、リスクのある人材を特定すること」「高い業績を上げる新人の予測」「履歴書の分析による最適な候補者の獲得」の順だった。
HRアナリティクス能力の自己診断は、ほとんどすべての地域、すべての具体的な質問において高いレベルを示したものの、アジア、欧州、オーストラリアの組織ではやや低かった。全体として、米国と中東、ラテンアメリカのレベルが最も高かった。
業種では、「ホスピタリティ、旅行、レジャー」業界と「メディアおよびエンターテインメント」業界が最低水準だった。かたや特に高かった業種には、金融サービス、エネルギーおよび公共事業、専門的サービス、卸売流通業などが含まれた。