企業の専有データ戦略は、この種のデータのライフサイクル全体に対応しなくてはならない。それをどう扱うのか、どう獲得するのか、結果として倫理面が問われる場合にはどう配慮するのか――。
戦略の策定にあたり、以下の問いを検討してみよう。
・専有データはどの事業目的に役立つのか。新製品、ビジネスモデル、顧客関係強化、または他の何かだろうか。それはどのように競争優位をもたらし、持続させるのか。
・どの種類のデータが、自社にとって有益となるのか。
・有益な内部データにどんな方法で価値を付加し、精選し、保護するのか。
・公的にアクセス可能なデータのうち、どんな種類のものが有益となるだろうか。どんな方法でそれに価値を付加し、自社専有のものにするのか。
・自社に有益となる外部データを所有している可能性がある他者は、誰だろうか。それを入手する倫理的な方法は何か。ライセンスの購入、会社の買収、スクレイピング(インターネット上で情報を収集・抽出すること)などを検討しよう。(ただし、スクレイピングには注意が必要だ。一例として、顔認識ソフトの開発会社クリアビューAIは、顔の画像をインターネットから収集したため批判されている。)
・そのデータの所有者が他にもいるかもしれない場合(顧客など)、自社の専有であるという主張をどう正当化するのか。データを自社が随意に利用する権利は、法的合意によって正当化されているだろうか。
・専有データの価値をどのように収益化するのか。
・自社のデータアーキテクチャは、すべての専有データを統合しやすいものになっているか。