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データ戦略において、多くの企業が見過ごしている視点がある。それは専有データ、すなわち自社のみが抱える固有のデータを有効活用し、有益な資産に変えることだ。専有データ戦略を実行するためには、どのような課題があるのか。


 あなたの会社のデータ戦略において、最も見過ごされている要素は何だろうか。大半の企業がそうであるように、おそらくは専有データ(proprietary data)ではないだろうか。専有データとは、自社のみに固有のデータであり、持続可能な競争優位の構築に利用できるものである。

 これは、企業秘密や知的財産とは違う(どちらもたいてい専有だが、実質的にデータであることは稀だ)。そうではなく、自社だけが所有しているデータ、または自社だけがそこに十分な価値を付加して、独自の事業資産にしているデータを指す。

 専有データは規模の大小、構造化か非構造化か、生か精製済みかを問わない。重要なのは、他者による複製が容易ではないという点だ。だからこそ専有データは、データ管理を通じて攻撃的価値を得るための強力な手段となる。

 専有データの価値については、筆者ら他にもさまざまな人たちが、長年にわたって書いたり話したりしている。にもかかわらず、その獲得、開発、活用の方法に関する戦略を持っている組織はいまだにわずかしか見られない。

 ほとんどの企業は、自社内部のデータのみを重視している。それはある意味では専有だが、開発の手を加えなければ、有益な資産ではないかもしれないのだ。

 たとえば、その内部データは他社も直面している問題の解決に役立つ(例:クレジットカード会社が有する支払データ)、あるいは他社にも有益となる形で外部のデータと組み合わせることができるのであれば、専有資産となりうる。