●原則(1):肯定的なレビューには一般的で短い返答をする
意外にも、肯定的なレビューに返答する際も、管理者には慎重さが求められることがわかった。シンプルに「ありがとうございます」と伝えることはほぼ影響はないが、よりカスタマイズされた返答は宣伝目的で不誠実と捉えられ、その後のレビューに悪影響を与えた。
●原則(2):肯定的なレビューへの返答は遅らせる
肯定的なレビューに対する返答は、そのレビューが2ページ目に表示されるまで遅らせることで、管理者は返答までの時間の悪影響を減らすことができる(たとえば、トリップアドバイザーでは1ページに10件のレビューが表示される)。
返答を遅らせることで、その肯定的なレビューをより新しいレビューの後ろに埋もれさせることができる(調査サンプルのすべてのプラットフォームは、レビューは新しいものから古いものに自動的にソートされ、管理者の返答後に表示順が上がることはない)。
こうすることで管理者は、その後のレビュアーに悪影響を及ぼすことなく、一人のレビュアーに感謝することによる、直接的で前向きな効果を得ることができる。
●原則(3):否定的なレビューはすべてに返答する
否定的なオンラインレビューは購入判断に影響を与え、一部の消費者が特定の企業を完全に避けるきっかけにもなる。否定的なレビューの悪影響と多くの顧客の潜在的損失を減らすために、管理者は主に、苦情処理戦略としてレビューに対応する必要がある。
否定的なレビューへの管理者の返答は、その後の否定的なレビューを防ぐ可能性がある。将来のレビュアーが自分と同じ内容の苦情に対する、過去の対応のやり取りを見ることができるからだ。
●原則(4)否定的なレビューには、それぞれの苦情に合わせた解決策を提供する
苦情処理の質を向上させるため、管理者は否定的なレビューの一つひとつにカスタマイズした対応をする必要がある。具体的には、そのレビューで指摘された問題を是正するために、どんな行動をしたかを伝えるべきだ。
レビュアーに指摘された問題に対処することで、管理者は不満を抱える顧客に納得してもらえる可能性もあり、その後のレビュアーに対し、会社が顧客からの苦情や問題を気にかけていると示すことができる。そうすることで組織は、サービスリカバリーの取り組みを積極的に管理することができる。
●原則(5):否定的なレビューはすべてに迅速に返答する
最後に、否定的なレビューには管理者は速やかに返答すべきだ。返答が将来のレビュアーに見てもらえるからだ。否定的なレビューへの対応が早ければ早いほど、レビュアーを早くなだめることができ、管理者と企業が顧客の苦情への迅速な解決に専念していると将来のレビュアーに知らせることができる。
悪いものを減らし、良いものを最大化する
私たちの分析では、独立系とチェーンのどちらの事業者も上記の戦略の恩恵を受けたが、チェーンのほうが大きな利益を得た。なぜか。顧客は独立系事業者に対しては頻繁な対話を期待しており、コメントに対する返答を受け取っても驚かないのだ。
実際、私たちが提案する方法でレビューに返答しても、独立系事業者の評判は改善されないが、チェーンの評判は改善されることが分析からも明らかになった
それでも、独立系にとってもチェーンにとっても、上記の原則に従うことが重要である。レビューへの対応は、単に評判を向上させるだけでなく、潜在的な損害を抑制するからだ。
顧客の口コミが急速に広まる時代にあって、上記の5つの原則は、否定的なレビューに対する管理者の対応に重点を置くことで、サービスリカバリーの取り組みに積極的なアプローチを提供する。そしてそれは、将来の否定的なレビューを軽減し、肯定的なレビューの効果を最大化するのに役立つ。
HBR.org原文:5 Principles for Responding to Customer Reviews, May 14, 2020.
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