テクノロジーが、公共サービスの在り方を変える

── 地方創生のために、テクノロジーの活用はもはや必須要素ですね。

 公共サービスを便利にしたり、観光客を誘致したり、産業をスマート化したり……。AI、IoT、ARやVR、ブロックチェーンといった新しい技術の数々が、地方創生のために活用されている例は無数にあります。しかし、着目すべきは個々の技術ではなく、こうした技術が出そろったことで、地域ごとの課題にフィットした解決策を自由自在にデザインできるようになったことです。

 デジタル技術の発展は、これまで難しかった行政機能をモジュール化することを可能にし、官民連携・アウトソーシングの自由度が上がっています。例えば米国南東部のサンディスプリング市では、2005年に公共サービスの大部分を民間事業者に委託するという大胆なアウトソーシング策で注目されましたが、2010年にはそれを全面的に見直し、内製に戻しています。このように、ダイナミックに業務を再構築できるようになった背景にもテクノロジーがあります。人口減少で行政の担い手が減っていく中で、日本の地方行政も取り組まなくてはならない部分です。

 逆に過疎地では思い切った分散型インフラの導入を考えるのも一案です。太陽光や地下水、自動運転のマイクロコミューター、ドローン宅配などを活用すれば、近い未来、各種インフラをコミュニティー単位で管理するのも不可能ではありません。それが実現すれば限界集落のような過疎地にも再生の道があります。これまで、日本の公共インフラは全国どこでもほぼ一律の仕組みで提供されてきましたが、ここにも発想の転換が必要です。