(2)分析的思考を下支えするルーチンを開発する

 次に、幹部ではない従業員の問題がある。幹部以外の従業員が重要な理由は、幹部よりも人数が多く、どれほど優れたアナリティクス技術があっても、データを重視する企業文化がなければ失敗に終わるからだ。

 この点を克服する秘訣は、全員がクオンツアナリストのエリートにはなれなくても、誰もが達成できる習熟レベルがあると気づくことだ。幸い、そのレベルに到達できるかどうかは、生来の能力だけで決まるわけではない。

 習熟を決定づけるのは、意思決定の際に行うルーチンや活動でもある。そうしたルーチンや活動をなりゆきで身につける代わりに、分析を習慣づけるルーチンや活動に集中する時間を毎日設けるとよい。

 その際、次のように自問してみよう。

 いま対処している問題のうち、アナリティクスによる答えが必要なものは何か。結論に至るためにはどんな情報が必要で、それらはどこで入手できて、どのように分析されるべきか。自分の結論が適正であるために、どのようなステップで確認すればよいか。

 分析的思考を日々の習慣にすることで、必要なマインドセットの成長が促されるだろう。

 組織が従業員の努力に報いれば、成長をさらに促進できる。すなわち、プロジェクトに参加する機会を与えたり、有効な結果が出なくても適切な分析テクニックを使うことを肯定的に後押ししたり、分析能力を向上させるための学びの場をつくり、従業員が受講できる規定のコースを設定したりするのである。

 組織の上層部が適切なノウハウを確実に持ち、日々のルーチンを通して、分析的なマインドセットを全社レベルに浸透させられれば、成功に向けた準備は整う。

 幹部レベルに専門家をそろえ、従業員の日々のアナリティクス活動を強化する組織は、今日豊富に存在するデータとテクノロジーを最大限に活用するうえで、最も有利なポジションに立ち、将来間違いなく成長し、進化するだろう。


HBR.org原文:Data-Driven Cultures Start at the Top, February 19, 2020.


■こちらの記事もおすすめします
HR部門のアナリティクス主導は飛躍的に進んでいる
仕事の世界ではいまだ、データよりも直感が優先されている
企業は採用候補者の評価にAIを使うべきなのか
DHBR.net特集「デジタル時代のHR戦略」