●相手と真剣に向き合う時間を贈る

 在宅勤務が増えたいまは、多くのカップルがずっと一緒に過ごしているが、2人でいても孤独を感じる人は多い。仕事、家事、場合によっては子どもの自宅学習など、毎日やらなければいけないことが山積みで、互いに相手をおろそかにしがちだ。

 だが、大切な人と真剣に向き合い、不満を共有できる時間は、理想的なストレス発散の一つである。1日の終わりに15分間、相手のためだけの時間をつくることは、互いのためにも、2人の関係のためにもなる。提案や助言は抜きで、何でも率直に話し、じっくり耳を傾ける時間にしよう。

 ●パートナーを支える最適な方法を見つける

 私たちがいままさに直面しているストレスは、ほとんどの人がこれまでに経験してきたストレスとは異なる。

 リーによると、人が切実に求めるサポートの種類は、いつも同じではない。たとえば、以前は感情的なサポートを好んでいた人が、いまは実用的な手助けが欲しいと思っているかもしれない。以前と同じサポートが最も役に立つだろうと推測するのではなく、何が必要なのかを本人に尋ねることが重要だ。

 パートナーが何を必要としているのかを理解できれば、あなたのエネルギーを、2人の関係に最大限の利益をもたらすように使えるだろう。あなたが必要としていることや提供できることを相手に伝えれば、相手を軽んじることや、相手に怒りを覚えることを、回避することにもつながる。

 ●「仕事」と「家庭」の境界線を明確にする

 家から離れた仕事場に通うことはなくなっても、仕事と家庭の空間を分けることはできる。手始めに、家の中で仕事を持ち込まない物理的なスペース──寝室、庭、暖炉の前──と、1日の中で仕事から解放される時間──休憩時間や終業時間をあらかじめ決める──をつくってみよう。こうしたささやかな聖域があれば、仕事やストレスから一時的に離れ、有害な影響から解放されることができる。

 ●離れる時間をつくる

 孤立しがちな時期にパートナーと離れる時間を求めることは、奇妙に感じるかもしれないが、自分自身と2人の関係を労わるために不可欠だ。近所を一人で散歩する、別の部屋で仕事をする、夜はそれぞれ違うことをするなど、いろいろな形があるだろう。

 これは自分が充電する時間になるとともに、パートナーが抱える仕事のストレスから少し距離を置くことができ、2人ともストレスに潰されることもない。さらに、そばにいないことによって心の絆が深まり、2人の関係にも驚くような効果があるだろう。

 ●バーチャルなサポートのネットワークを活用する

 ここ数ヵ月、意味のあるやり取りを直接交わした大人は、互いにパートナーだけかもしれない。しかし、必要なすべてのサポートを、パートナーから得られるわけではない。

 カップル間のプレッシャーを軽減するために、仕事のストレスをコントロールするにはどのようなサポートがあるか、どのように利用できるか、話し合ってみよう。同僚など仕事のネットワークかもしれないし、友人や家族、あるいはコーチやカウンセラー、セラピストもいる。彼らに積極的に助けを求めることは、自分たちの対応能力を高め、自分とパートナーの仕事のストレスを管理しやすくなる。

 パートナーのストレスから少し離れて、境界線を引いて自分の領域に入らせないことは、直感に反するかもしれない。しかし、長期的に見れば、パートナーと自分を支える最善の方法だ。

 相手のストレスと距離を置くことと、相手のストレスに真剣に注意を払ってサポートすることは、補完し合う必要不可欠な要素である。これらを組み合わせることにより、相手のストレスに巻き込まれずに、親密で思いやりのある関係を維持して、2人のキャリアと関係の双方を支えることにつながるだろう。


HBR.org原文:Don't Let Your Partner's Work Stress Become Your Own, June 04, 2020.


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