●明確にする
自分の組織における休暇の方針について明確な事柄を確認し、それをチームに伝えよう。
会社の旅行に関する方針、遠方まで出かけたあとで職場に戻る場合の制限(たとえば、実験室で働く研究員が休暇を終えて実験室に戻る場合)、そして周囲やみずからの安全に対するリスクについては、必ず伝える必要がある。
政府や公衆衛生当局者が発した情報を部下に参考資料として提供することも重要だ。そうすれば、彼らもそれを考慮に入れることができる。
休みに関する方針が明快であれば、各自が意識的にトレードオフを検討し、皆が同じ原則のもとで働けるようになる。
●休暇を定義し直す
在宅勤務している部下には、家族と時間を過ごしたり、家族の介護や自分をケアしたりするツールとして「休暇」をとらえるよう促そう。
ダウンタイム(休止時間)は娯楽や旅行よりも、適切なメンタルヘルスのサポートに費やされる可能性が高い。私のクライアントのチームメンバーは、スケッチをしたり歌を歌ったり、マンネリ打破のためにいままでしたことがなかったことに挑戦するようにしているという。
すでに多くの人が、手に届く範囲内での楽しみ方を再発見している。私のクライアントの一人は、半休の日に自宅の庭で花を摘んで妻のために花束をつくり、自転車を修理し、長いこと棚に積んであった本を読んだ。次の半休の日には、娘たちと自転車に乗り、自宅のテラスで娘たちとキャンプをする予定だという。
組織の休暇、あるいは遠出せずに国内で過ごすステイケーションに対する考え方をシフトさせよう。従来のように旅行に行く代わりに、目の前にあるリソースを使ってリラックスする独創的な方法を編み出すのだ。
●思いやりを示す
働く条件の格差が、個々の在宅勤務の環境から生み出される仕事の成果という語りで明らかになり始めている。たとえば、女性の研究者が発表する論文の数が減っているのは、おそらく家庭生活を回すのに過度な負担がかかっているからだろう。
複数の世代にまたがる家族の世話やセルフケアなど、やるべきことがいろいろある中で、せめぎ合う優先事項のバランスを保つのに必要な時間を取るよう、部下たちに促そう。
これまで以上に柔軟な制度を提供する必要があるかもしれない。非公式の休みを付与したり、休暇日数の上限を増やしたり、休憩を取るよう促したりすることなどが考えられる。先行きがとりわけ見通せない現状では、多くの人々が仕事を失うことをおそれているから、経営幹部に促されて初めて安心して休みが取れるだろう。
部下たちに思いやりや気遣いを見せることで、従業員こそが組織の最強の資産だという金言を行動で示すことになり、個人的状況にかかわらず、経営陣は良いときも悪いときも従業員を支える準備ができていることを示せるのである。