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部下の勤務評価はただでさえ難しく、リモートワークになってそれがいっそう困難になった。新型コロナウイルスの影響をどのように考慮すべきなのか。一人ひとりが異なる環境で仕事をしている中で、どうすれば公正に評価ができるのか。本稿では、勤務評価を行う際に留意すべき9つのポイントを紹介する。そして2つのケーススタディを通して、それを実践する方法を学ぶ。


 あなたはこれまでのキャリアで、部下の勤務評価をそれこそ何百回も行ってきたかもしれない。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大とともに、あらゆることが一変した。

 あなたのチームは、非常に厳しい環境で数ヵ月間にわたり、リモート勤務で仕事をしてきた。こうした状況で、マネジャーはどのように部下の成績を評価すればよいのか。新型コロナウイルスの影響をどのように考慮すべきなのか。一人ひとりが異なる環境で仕事をしている中で、どうすれば公正に評価ができるのか。

専門家の意見

 どんなに順風満帆な時期でも、部下の勤務評価を行うのが楽しいというマネジャーはいない。「緊張とストレスが高まり、強い不安を感じる」と、INSEADのマーク・モーテンセン准教授(組織行動論)は言う。

 しかも、新型コロナウイルスの感染が世界に拡大し、経済が危機的状態にある中で、勤務評価はいっそう難しくなっている。モーテンセンが言うように、「いま人々は、不安と極度の恐怖心に苛まれている」。

 あなたの部下が最良の状態で働いているわけではないことは確かだ。その点は、自分自身が健康上の問題を抱えていない人も例外ではない。

 そのような人たちの勤務評価に「特定の雛型はなく、万人に対して有効な方法はない」と、ニューヨーク大学のアナ・タヴィス臨床准教授(人的資源マネジメント)は言う。人事部門幹部向けの専門誌『ピープル+ストラテジー』の編集長も務める人物である。

「形こそ違っても、誰もがぎりぎりの状態で日々を送っている」。したがって、「一人ひとりも部下が置かれている状況」に基づいて、「その人の身になって評価を行う」ことを目指すべきだ。

 本稿では、それを実践するために役立つ戦略をいくつか紹介する。