●より包括的かつ創造的でフレキシブルな勤務形態を提唱する

 ロックダウン中、より多くのリーダーは、従業員がリモートワークするメリットを実感したはずだ。

 最近の調査によると、CIO(最高情報責任者)の71%は、オフィスのスペースと、新しい需要を支える技術スタッフの配置の将来計画では、リモートワークへの新たな評価が重要な要因になると考えている。

 別の研究では、27%の父親がよりフレキシブルな勤務形態を希望し、ほとんどの働く父親は、テレワークは女性(特に母親)に、より多くのキャリアチャンスを提供すると考えていた。

 職場に戻ったら、フレキシブルな勤務形態をニュー・ノーマルにしよう。従来の週5日出勤のモデルから、週に1日か2日はオフィスで、あとは家で勤務するモデルへと変化させよう。

 従業員のパフォーマンス評価を、直接会って話すフェイスタイムが日常だったときの従来の基準に戻してはいけない。本当の柔軟性とは、従業員が最も生産的になれる場所で働くことを促進することだ。

 フレキシブルな時間と場所で働けば、仕事と家庭のスケジュールの折り合いをつけやすくなる。何より、男性がこうした方針を提唱し、活用するなら、もはや「女性用」のプログラムと見なされなくなるだろう。

 ●働く親を念頭に置く

 すべての従業員のために有給の病気休暇を提唱し、あなた自身が利用しよう。

 私たちの研究では、男性がこの行動のモデルを示すと、他の男性や女性も気兼ねなく最大限に有給休暇を利用するようになった。男性は対等なパートナーとして、子どもの具合が悪いときに医者に連れていく、一緒に家にいるなど、自分の担当分を果たすべきである。

 また、利用しやすく経済的に手ごろな保育支援を提唱しよう。これには職場外の保育サービスや共同保育サービス、保育クーポンなどの給付、職場内の保育施設(再開しても安全と判断された場合)も含まれる。

 職場での真のジェンダーバランスとジェンダー平等は、誰もが最高レベルの保育サービスを利用できて初めて実現するのかもしれない。企業は現時点では、さまざまな制限や経済的制約のため、思うように保育支援を提供できないかもしれないので、短期的には、地域社会や他の企業との提携が賢明な選択肢かもしれない。米国連邦政府は職員のために、ある程度の保育支援を実施しているが、まだまだニーズに追いついていない。

 ●自身の家庭生活を見える化しよう

 子どもや家庭の用事で仕事を休むときは、堂々と休もう。隠そうとしてはいけない。男性は、誰にも自分の不在を気づかれないように、こそこそ裏口から抜け出したり、そっとサインアウトしたりする傾向が強い。

 家族との約束を果たすために仕事を休むのを当たり前のことにして、同じことをした人が誰一人(同僚の女性たちも)、罰を受けたり否定的な目で見られたりしないようにしよう。他の男性にも、パートナーや子どもとの約束を公に優先するように勧めよう。

 リモートワークでも同じだ。たとえば仕事の共同作業プラットフォームやコミュニケーションツール上で、子どもを医者に連れていくとか、PTAズームミーティングに出席するためにサインアウトすると、はっきり伝えよう。

 また、自分の家族のことを同僚に話そう。パンデミックの間、私たちは、自分の家族や家庭の問題について話すことは許されるばかりか、チームが関係や精神的つながりを築くのに、大いに有効で有意義であることを学んだ。この会話は職場に戻っても続けよう。

 危機はしばしば、個人の生活が大きく変わるきっかけとなる。社会にとっても同様だ。現在のパンデミックも、新たなターニングポイントになるに違いない。従来のストーリーや信念を一度解体し、すべての人にとって働きやすい新たな規範と価値観に向かって、仕事を再構築する機会となるだろう。


HBR.org原文:3 Ways to Advance Gender Equity as We Return to the Office, June 11, 2020.


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