●自分が最も覚えやすい方法を見つける
人はさまざまな方法で情報を吸収する。複数の学習方法を検討することは、自分に適した記憶方法を見つけるのに役立つだろう。
たとえば、教育現場での有効性については議論があり、確かなエビデンスはまだない。しかし、私自身はこれまでのキャリアを通じて、VARKのモデルが自分には効果的だと実感している。
VARKでは、学習スタイルを視覚、聴覚、読み取り・書き取り、運動感覚に分けて、それぞれ自分に合った方法を見つけていく。簡単なアンケートに答えるだけで、自分の学習の傾向がわかる。
あるいは、LCI(Learning Connections Inventory)のフレームワークは、自分の学習パターンを決めるのに役立つだろう。自分に合った学習方法をより理解すれば、人との交流をうまく利用して、相手のことや仕事、生活に関する詳細を記憶する能力を最適化できる。
私は聴覚学習が得意だ。耳から聞くと、情報を最もうまく消化して思い出すことができる。
そのことに気がついたのは、最初に勤めた銀行から現在の不動産の仕事に移ったときだ。クライアントや彼らの子どもの名前を覚えるだけでなく、一緒に働くエージェントなど仕事で付き合いがある人々のことや、彼らの人生の重要な変化(結婚、引っ越し、転職など)に関する記憶力は、今日の私の成功を支えている。
これらの情報は、心のこもった会話を通してもたらされる。その際は、積極的に耳を傾けるアクティブリスニングが重要だ。
ただし、聞くだけでは十分ではない。聴覚的な学習スタイルを活用するために、私が見つけた戦術をいくつか紹介しよう。
・初対面の場合、会話の中で名前を繰り返す。こうすると相手の名前と詳細が頭に残りやすくなる。
・打ち合わせにPCを持っていかない。パソコンでメモを取ると、情報を覚えようという意識がそがれるかもしれない。
・記憶をゲームにする。オフィスビルで働いている人は、フロアの反対側にいる全員の名前を覚えてみよう。定期的に複数の支店を訪問する人は、手土産に、訪ねるチームの好みの菓子を選んでいるだろうか。私は、クライアントがそれぞれマンハッタンのどのビルに入居しているかを、定期的に思い出すようにしている。こうした詳細の情報は、私の業界で成功するために不可欠だ。
聴覚学習が得意ではない人は、効果的な戦術も異なるだろう。視覚学習が得意な人は、図表やグラフィクス、フラッシュカードを好むかもしれない。
情報を読んだり書き留めたりすることによって、定着させるという人もいるだろう。運動感覚的な学習なら、模型を使った実践や、体を動かすアクティビティが必要になる。