●期待を再検討する
この機会に、あなたがその人に一番求めているものは何か、そして、なぜその期待に応えられていないと感じるのかを再検討してみよう。
まず、あなたが最近、どのような指示を出していたかを振り返り、期待の伝え方が明確で、最初から一貫しているかどうか検討してほしい。どの状況にも通じることだが、特に直接会えないいま、あなたの発言に曖昧なところはなかったかと振り返ることは大切だ。そして、あなたが不満なのはその人の仕事の成果なのか、仕事の進め方なのかを見極めることも重要だ。
仕事の進め方やアプローチに問題を感じるなら、あなたと同じやり方で仕事することを期待していないかどうかをチェックしよう。もし期待していたなら、その期待は捨て、チームの仕事に貢献するメンバー一人ひとりの実際の強みと能力を冷静に評価することだ。
ある上級管理職のクライアントは、部下の一人を好きになれないという事実を受け入れたとき、リモートのほうが関係がうまくいくことがわかった。部下が挙げた成果そのものや、その部下に対する他のリーダーからの称賛に注意が向くようになり、自分の先入観に縛られることがなくなったからである。
成績不振の原因が、その人の経験不足や特定のスキルの弱さ、あるいはビジネス感覚や組織感覚の欠如にあると思われたら、研修を受けさせたり、経験豊かな同僚と組ませたりすることを検討しよう。リモート環境ではやりにくいことかもしれないが、必要なサポートをせずに職場に復帰できるときまで放置するのは、リスクが大きすぎる。
●相手をもっと知る
パフォーマンスが振るわないメンバーに対して、目標や関心を尋ねることは大切だ。たとえ一緒のチームで働き始めてしばらく経っていたとしても、目的や関心は状況の変化とともに変わるものだからだ。
ましてや現状では対面での気軽な会話を通して、その人の家族や趣味、あるいは過去の仕事の成功について知る機会がない。そのため、ニーズに合わせてマネジメントのアプローチを修正する必要がある。
たとえば、同僚と肩を並べて仕事することができなくなって寂しさを感じているとしたら、定期的なコミュニケーションを多く必要とするプロジェクトに参加させると、パフォーマンスが向上するかもしれない。
どのようなリモート環境やスケジュールで働いているのかよく知らないなら、聞いてみよう。メンバーの中には、ただでさえ中断されることの多い勤務時間内で計画的に仕事を進められるよう、厳格なデッドラインを望む人もいるだろう。在宅勤務のために生じた家庭内の差し迫ったタスクに対処するために、融通のきくデッドラインのほうが助かる人もいるはずだ。
通常の仕事の会議のときと同じように、子どものオンライン学習を見てやるとか高齢者の介護をするなど、家庭での役割を考慮に入れ、尊重しよう。
●腹を割って具体的に指摘する
たとえ同じ社屋にいなくても、フィードバックはやはり必要不可欠だ。多くの場合、成績不振の人は、自分でも何かがおかしいと漠然と感じているものの、自分のどの行動が問題なのか、明確に理解していない。
たとえば、チームリーダーに対して「よい聞き手になれ」と言うだけでは、具体的に何をどう変えればいいのかわからないだろう。それよりも、ビデオ会議中にそっぽを向いたり、メンバーが話している最中に話題を変えたりするとチームの信頼や信用を失うと説明するほうが、ずっと助けになる。
フィードバックは、積極的に行動を修正するチャンスを提供する。