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経済が徐々に再開し、オフィスで働き始める人も増えてきた。経営者やマネジャーは、従業員が新型コロナウイルスに感染しないよう工夫を凝らしている。職場での感染を防ぐうえで重要なのは、感染可能性がある従業員を隔離することだ。自己申告してもらえることが理想だが、感染発覚による失職や差別を恐れる人もいるだろう。従業員の不安を解消しながら感染可能性がある人を隔離するには、「ランダム・ローテーション」を導入するのが有効だと筆者は主張する。


 経済の再開が進む中、雇用主は従業員を新型コロナウイルスへの感染から守るための方針・慣行の導入に努めている。多くの州で感染拡大がいまだ続いているため、これは極めて喫緊の課題である。

 従業員は、自分または身近の誰かに初期症状が出て新型コロナウイルスへの接触の疑いを感じた場合、ただちに積極的に申告することが望ましい。

 だが、彼らは自身が感染リスクであることを明かしたくないかもしれない。米国疾病対策センター(CDC)と世界保健機関(WHO)がスティグマ(負の烙印)を減らすための指針を示しているにもかかわらず、回復者および現場・前線で働く人々に対する差別が多数報告されている。

 このことは、早期の感染抑え込みを非常に難しくする。そしてこうした差別があるため、雇用主は現場業務の再開――または既存の対面業務従事者の管理――を計画する際、従業員に新型コロナウイルスへの接触可能性を忌憚なく申告してもらえるよう万全を期す必要がある。

 筆者らは、衣料品工場における安全基準違反と性的ハラスメントがどのように通報へと至ったかを調査したことがある。あわせて、実用的なデータをもたらす諸々の通報手順の効果についても研究してきた。

 重大な利害を伴うこれらの状況から得られた教訓は、まさにこの時期、新型コロナウイルスへの接触可能性の自己申告を促すうえで役立つはずだ。