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新型コロナウイルスの感染拡大で多くの企業が大打撃を受ける中、GAFAのような巨大テック企業の業績は好調だ。しかし、彼らが租税回避策を実行しているために、各国は税収増の恩恵を十分に受けられていない。コロナ禍で景気がますます後退する中、それぞれの国が独自に徴税を強化することが予想される。その結果、不利益を被った国からの報復措置が続けば、貿易戦争への発展は避けられないだろう。いまこそ足並みを揃えて、徴税の国際ルールを定めるべきである。


 覚えているだろうか。コロナ禍の前、米国政府はフランスからの輸入品に最大100%の追加関税を課すという脅しをかけたことがあった。これは、フランス政府が大手デジタル企業のフランス国内における売上高に3%課税する法律を設けたことへの報復だった。

 このときフランス政府は、貿易戦争を避けるために税金の徴収を2020年末まで延期することに同意する一方、その期限までに経済協力開発機構(OECD)が国際的な課税ルールをまとめるのを待つことにした。

 しかし、いまのところ国際合意は生まれていない。それどころか、その後、世界は急速に複雑性を増していった。

 貿易戦争はもはや不可避に見える。世界の国々の政府は、コロナ禍による税収の大幅減に直面しながら、大々的な救済策を実施しなくてはならない。新型コロナウイルスの感染拡大前の時点で各国が一致点を見出すのが難しかったとすれば、現在それはいっそう困難になったように思える。この状況を打破するためには、世界の国々が画期的な協働を実践する以外にない。