
数多くの人種的不正義が突きつけられる中、ビジネスリーダーは、このいびつな社会を「公平な採用機会(fair chance hiring)」によって改善することができる。そこにあるのは、来歴に関係なく、自分が能力を有するポジションに就き、公平な評価を受ける権利があるという前提だ。これには、前科を持つ者も含まれる。自社に公平な採用機会プログラムを導入し、対象となる人物の経歴ではなく、スキルや学習意欲を重視し、前科があっても高い能力を持つ人材を採用するにはどのようにすればよいのか。そのためのステップを提示する。
2020年に入って以来、私たちは悲惨な事実を目の前に突きつけられてきた。すなわち、黒人をはじめとする非白人には、基本的なリソースへのアクセスが白人と同じようにはないことだ。
ビジネスリーダーはいま、より平等で多様性があり、もっと強い職場をつくる一方で、米国の社会システムに存在する亀裂に対処するチャンスを前にしている。それにはまず、「公平な採用機会(fair chance hiring)」と呼ばれるプログラムの実践から始めることができる。
公平な採用機会とは、人は来歴に関係なく、自分が能力を有するポジションに就いて、公平な評価を受ける権利があるという前提に基づく登用方法だ。
黒人のほうが、逮捕されたり、刑事責任を問われたりする可能性が高いということは(黒人男性は白人男性よりも収監される可能性が5倍も高い)、黒人は前科があるために仕事に就けない可能性が高いことを意味する。
公平な採用機会プログラムでは基本的に、応募者の面接が終わり、特定のポジションに就く能力があるかを検討した後でなければ、その人物の犯罪歴を参照することはできない。
真に変化をもたらすためには、「バン・ザ・ボックス(ban the box)」(応募書類から犯罪歴を記載する項目をなくすこと)の方針にとどまらず、高い能力があるにもかかわらず、前科のために面接に至ることすらなかった人材のプールを積極的に構築するべきだ。