(3)スキルを面接の中心に据える
公平な採用機会プログラムによって強力な人材プールを構築することは、採用活動を成功させるうえで極めて重要なステップである。だが、彼らが面接段階に入った時、あなたの会社には受け入れる準備ができているだろうか。
公平な採用機会プログラムの適用を受ける候補者は、スキルは十分あっても、検討されているポジションに就いた経験がなかったり、刑務所にいたために無職の期間が長かったりするかもしれない。
空席となっているポジションの採用活動を始める時は、スキルを選考過程の中心に据える。該当するポジションに就いた経験ではなく、移転可能なスキルと学習意欲を重視しよう。
(4)前科を公平に評価する
応募書類が届いた時、前科を個別に調べる必要が生じるかもしれない。これに公平に対処するためには、個別の評価方法を設定する必要がある。そのためには、応募者のことをよりよく理解しなくてはならない。
そこで役に立つのは、以下の3点を検討する「性質/時間/性質テスト(nature/time/nature test)」と呼ばれるものだ。
・その人物の犯罪歴の性質
・その犯行から現在までの期間
・採用ポジションの性質
こうしたコンテクストを考慮に入れないと、重要な情報を見落とすことになる。応募者は、他愛ない犯罪を行ったティーンエイジャーだが、成人として裁判を受けたのかもしれない。あるいは厳しい判決を避けるために、有罪を認める司法取引をしたのかもしれない。
だが、経歴を調べて、その背景を理解することに時間を費やすと、目の前にいる人物を正しく評価する助けになる。
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企業が前科のある者を雇わないことにすると、前科を持つ者のデモグラフィック特性ゆえに、人種やジェンダー、民族に基づいて採用決定を下すのに等しくなってしまう。もしあなたの会社で、経理部門の白人女性従業員が横領を働いたからといって、今後のリスクを考えて、白人女性の採用をいっさいやめるだろうか。そんなことはしないはずだ。
採用には、常にリスクが伴う。だからこそ、時間をかけて、きちんとした情報に基づき、よりよい決定を下す努力をしなければならないだけだ。
公平な採用機会プログラムは、前科を持つ米国人7000万人に仕事を得るチャンスを与えることができる。あなたの会社が導入を決めれば、よりよい社会をつくる取り組みに、積極的に参加することになる。
それは私たち全員に、対等な人間として生きるとともに、バイアスのかかった過去のシステムと決別する機会を与えてくれる。
HBR.org原文:Give Job Applicants with Criminal Records a Fair Chance, September 21, 2020.
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