
働く親に対する支援の必要性は増すばかりだが、米国企業の場合、12週間の産休を提供している組織は60%、さらに育休を認めている組織は33%だという。だが、産休や育休が取得できるからといって、働く親の離職を防止するには足りない。特に子どもが生まれたばかりの従業員をサポートするには、企業はもっと広範なエコシステムを構築する必要があると筆者は指摘する。初めて親になった従業員、とりわけ女性従業員を引き止め、能力開発を進め、後押しするにあたって、企業が検討すべき5つの問いを論じる。
私が初めての産休に入って数週間が経った頃、元同僚でもある友人が電話をくれた。きついお産だったうえに、住んでいたマンハッタンはハリケーン・サンディの直撃を受けて、私はげっそりしていた。それだけに、懐かしい友人の声を聞いて、とても嬉しかった。
「調子はどう?」と彼女は、私と生まれたばかりの息子ジェイの様子を尋ねてくれた。私は、初めて母親になったエピソードをあれこれ話し、近く会う約束をしたところで、彼女は聞いてきた。「仕事のほうは大丈夫? 予定通り復帰するつもり?」
「もちろん」と、私は息子のおむつを替えながら、即答した。「でも、どうして?」
彼女は少し黙り込んでから、こう言った。「リクルーターから連絡があって、あなたの仕事に興味はないかと聞かれた。ネットにも求人広告が出ている。だから、あなたはもう復帰しないのかと思った。こんなことを知らせることになってしまって、ごめんなさい」
それに対して私がどう返事をしたのか、どう電話を切ったのかは覚えていない。ただ、頭がクラクラしたことは覚えている。とにかく授乳を終えて、息子を寝かせつけた。
復帰するのに、どうして私の仕事がオンラインの求人サイトに出ているのか。産休中なのに、どうして後任を探しているのだろう。どうして誰も教えてくれなかったのだろう。