●産休中の仕事を誰が代わりに引き受けるか

 私は産休を2回取得した。上司やチームメンバー、そして同僚にも産休を取った人が多い。産休中の仕事を引き継ぐための明確な計画がなかったり、同僚や誰かに仕事を押し付けたりするだけでは、多くの不安が生じる。初めて産休に入る女性は、自分がチームの重荷になっていると感じる一方、同僚は腹を立ててしまう。

 解決策の一つは、会社のことをよく知っていて、その仕事を数カ月カバーするためにコンサルティングできる元従業員のリストを作成しておくことだ。あるいは、ザ・セカンド・シフト(The Second Shift)のような会社に協力してもらうのもよい。ジーナ・ハードリーとジェニー・ガルーゾが共同創業した同社は、プロジェクトベースで参画する、あるいは産休をカバーする女性エキスパートと企業をマッチングさせるプラットフォームを提供している。

 私の2度目の産休は、こうした対応が取られた。産休に入ってから5カ月間の仕事をカバーするために、退職した従業員がコンサルタントとして雇用されたのだ。

 コンサルタントを雇わずに、現在のチームメンバーにカバーしてもらう時には、担当者にボーナスを支給したり、基本給を引き上げたりすること。チームメンバーに余裕がない場合には、社内の別の部署から手を借りて、その分の報酬を支払おう。

 ●産休を取得した女性の業績評価をどうするか

 私は産休から復帰直後に、極めて低い業績評価を受けたことがある。産休前は、きちんと目標を達成していて、十分な成績で休みに入ると言われていたにもかかわらず、だ。そして、新たな評価の理由は「会社の業績が悪化しているから」という漠然としたものだった。

 このようなやり方は避けなくてはならない。これから産休を取る従業員とは事前にミーティングの機会を設け、過去1年間の成績について目標と照らし合わせたうえで詳細なフィードバックをする。

 必要に応じて、産休を取得することが評価やボーナスにどう影響するか説明しよう。通常の業績評価のスケジュールが産休と重なる場合には、復帰後に改めて正式な評価を行うと約束すること。産休中にこの話をしたいと希望する場合もあるかもしれない。

 会社の方針に従って、ベルカーブに合わせた相対評価をしなければならない時には、産休中の従業員については産休前の成績に基づいて評価する。子どもが生まれたばかりの従業員が、相対評価の下限で評価を受けている場合、会社は評価者のバイアスについて率直に話し合う必要がある。

 ●産休中の女性は仕事にどのような意欲を持っているか

 出張が多いポジションに筆者が手を上げた時、当時の上司は「きみはまだ子どもが小さいじゃないか。そんなに子どもたちと離れていたくないだろう?」と言った。そのポジションの候補になることも認められなかった。筆者についての決定はすでに下されていたのだ。

 子どもが生まれたばかりの母親だからといって、全員がいわゆる「マミートラック」を希望していると思い込んではいけない。ほかの従業員に対して組織でどのように成長していきたいか確認するのと同じように、どのようなキャリアを築きたいか本人に話を聞き、理解する。こうした話し合いにはオープンな態度で臨み、相手の話に注意深く耳を傾けることだ。

 もし、本人の気持ちが変わっていないことがわかったら、産休が明けた時は産休前と同じポジションに復帰できること、そして引き続き主要なポジションの後継候補に入っていることを約束する。次の仕事に任命される、あるいは昇進するためには何が必要か明確に示すこと。産休中でも、そうしたチャンスがあれば連絡してほしいかどうかも聞いておこう。