リーダーシップで思いやりを示す時、知恵と有効性を犠牲にすることはできない。どちらも必要なのだ。知恵と思いやりのあるリーダーシップ(ワイズ・コンパッショネイト・リーダーシップ)とは、困難なことを人間らしい方法で行う能力である。

 リーダーシップのスタイルや手法は、必ずしも個人が持って生まれた永続的な性質を示すものではない。むしろ多くの場合、リーダーが行動する際の具体的な傾向や心構え、文脈につながることを理解するのが重要だ。

 図左上の1のリーダーは、人々のことを気にかけてはいるが(それ自体は素晴らしいことだ)、厳しいフィードバックを与えることなど、リーダーシップの難しい部分を避ける傾向がある。図左下の3のリーダーは、有効性が低く無関心であり、マインドフル(周囲への配慮)とは正反対のやり方だ。

 これら2タイプのリーダーは、思いやりも知恵もなく、部下からは冷たくてリーダーらしくないと思われている。図右下の4のリーダーは、仕事の目標を効果的に達成しているが、思いやりはほとんどない。

 図右上の2が知恵と思いやりのあるリーダーで、彼らは最善の結果をもたらす。このタイプのリーダーシップは、部下への配慮と、組織を効率的かつ生産的に前進させる必要性とのバランスが取れている。厳しい行動が必要な時は、相手の感情とウェルビーイングを真摯に考えながら実行するのだ。

 知恵と思いやりのあるリーダーシップをより理解するために、筆者らは100近い国の5000社以上から1万5000人のリーダーのデータを収集した(あなたも気軽に簡単な質問に答えて、自分のリーダーとしての思いやりを判定し、ぜひ我々のデータセットに貢献してほしい)。

 広範なデータモデリングを通じて、より高いレベルの知恵と思いやりは、昇進と明らかな相関関係があることもわかった。つまり、リーダーとして知恵と思いやりを実践すれば、より早く、より高い地位へと昇進できる。これは素晴らしいことだ。他人のためになることをすれば、自分が成功できるということなのだから。