働く父親に優しい組織文化は
何をもたらすか

 父親に優しい組織文化にはハロー効果があり、働く母親にも恩恵を与える。そのポジティブな効果は、組織全体に働くものだ。

 ●ジェンダー平等を推進する

 歴史的に、男性は子育ての心配をする必要はないという間違った思い込みが存在する。子育ては母親の仕事だというのだ。そのため、男性はシニアリーダーシップになっても、従業員の子育てを優先課題にしない。彼ら自身、これまでのキャリアで、子育てと仕事のバランスを取る必要に迫られたことがないからだ。

 だが、女性のキャリアにとっては極めて大きな問題だ。そのことは、数多くの研究で確認されている。リーンイン・オーグとマッキンゼー・アンド・カンパニーによる「ウィメン・イン・ザ・ワークプレイス 2020」もその一つだ。これは、全米300社以上の新入社員から最高経営幹部まで4万人以上を対象に行なった調査の報告書である。

 それによると、母親は父親よりも多くの家事をこなしているだけでなく、自宅で子育てに従事しなくてはならないために、職場でより厳しい目を向けられているのではないかと心配している割合が、父親の2倍に上った。母親はまた、ワークライフバランスの問題はもちろん、子どもがいるという事実さえも、同僚と気軽に話せないとしている。

 コロナ禍はこの状況を増幅し、問題を悪化させた。託児所が閉鎖され、学校の授業がオンラインまたは通学とのハイブリッドに移行すると、女性が自宅で子育てに費やす時間は一段と増えた。その結果、職場からドロップアウトしつつある。特に、シニアリーダーシップと黒人の女性に顕著である。

 これは、ジェンダー平等に向けた過去数十年の進歩を帳消しにするものだ。2020年9月の時点で、米国の労働人口における女性の割合は55.6%に下落した。ピークは2020年4月の60.3%だった。

 職場でジェンダー平等を実現する唯一の方法は、男性従業員がもっと家庭に関われるように職場が支援することだ。そうすれば、パートナーも仕事ができる。