●組織文化にコミットする
私はケア・ドットコムのCEOとしての役割を引き受ける前、自分に新しいワークライフの哲学を誓った。父親であることを最優先するとともに、優れたリーダーになるためにも、「自分の本当の姿」を職場に持ち込むことだ。そして、新しいリーダーシップチームにも従業員にも、同じ哲学を取り入れてほしいと明言した。
ケア・ドットコムのミッションは、愛する家族をケアしながら、仕事と生活のバランスを取るための助けになることだ。私たち自身がそれを体現しなければ、会社としてそのミッションを達成することはできない。
CEOとして、私自身も率先して実行してきたつもりだが、リーダーやマネジャーであれば、どの組織にあっても従業員の模範となる必要がある。また、働く親にストレスを与える文化につながるような態度や行動には、目を光らせなければならない。
私は育休中、ちょっと電話で話せないかと同僚から連絡をもらうことが多かった。「5分でいいから」と言われると、「イエス」と答えなくてはならないと感じた。案の定、「ちょっと5分」の電話が、何本もかかってくるようになった。リーダーとマネジャーが線を引かなければ、ほかの誰も線を引かなくなる。
リーダーとして、自分の弱さを見せ、正直になり、親としての自分の人生を大切にしよう。ほかの働く父親にも、同じようにするよう背中を押してあげる。あなたの組織で働くすべての親が、有休や緊急時のケア、柔軟な勤務制度を利用できるようにしなくてはならない。そして、彼らが実際に利用できるようにするためには、あなた自身が制度を利用することが欠かせない。
数週間前のことだが、ズーム会議に出席していた時に、家族と旅行に行っているはずのシニアマネジャーが姿を見せた。驚いた私は即座に、「あなたのコミットメントには本当に感謝するけれど、いまは働いているべき時ではない。家族と一緒に時間を過ごした後で、最新状況を話そう」と伝えた。画面には、背後に子どもたちが映っていた。彼は私の話を理解して、すぐに通話を切った。
私が話していた相手は、彼だけではない。その会議に参加していた全員だ。私自身を含めて。
HBR.org原文:I'm a CEO and a Working Dad. Here's What I Wish I Did Differently, December 08, 2020.