3. 文化の核心を磨き上げる

 大手コンサルティング会社は、これまで多くの物事を的確に実行し、過去半世紀において最も秀逸で耐久性のある制度のいくつかを生み出してきた。しかし彼らは、変わりゆく環境に適応し続ける必要性を認識している。それに失敗するクライアントを、あまりに多く目にしてきたからだ。

 マサチューセッツ工科大学のエドガー・シャイン教授は、次のように記している。「文化は、新たな経験とともに進化しうるという点で可変的である。その変化は、2つの方法で生じうる。明白で差し迫った危機――いわば『足場が燃えている』状態――の結果か、または有能で洗練されたマネジャーの下で、管理された進化を通じてである」

 マッキンゼーのような大手コンサルティング会社にとって、文化面での「管理された進化」(managed evolution)のプロセスは次のことを伴う。

 組織構造とプロセスの多様化によって、高まるグローバル化に対応すること。スペシャリストが持つ専門知識をもっと必要としているクライアントのニーズに応えること。ジェンダーと人種の多様性に関して、野心的目標を明確に設定すること。そして、折々に生じる誤った判断と社会問題に対し、リスク管理と説明責任を強化することだ。

 現在、どの組織も「明白で差し迫った危機」のさなかにあるため、文化の核心を根本から改善する必要に迫られているかもしれない。マッキンゼーは他の大企業と同じように、危機に向かって積極的に対応し、より思慮深い社会貢献に――クライアントのためだけでなく、自社が活動する世界各地の社会のためにも――取り組んでいる。

 同社はその過程で、文化とは自社が進みたい行き先を示す合言葉であるという、バッキンガムとグッドールの知見を再確認した。「文化は現在を説明するだけでなく、次にどこに向かうのかを示す手掛かり」なのだ。

 私たちの誰もが直面する「次」なる局面では、バーチャルワークか、少なくともハイブリッドワークが続くことになるのは、ほぼ確実だろう。これは私たちの歴史上最大の行動変容となるかもしれない。これまでと同じ規範、価値観、信条を持ち続けるという選択肢は、もはやありえない。

 実際、私たちがかつて築いた社会構造は縮小しながら、すでに終わりを迎え始めているのかもしれない。この課題に対処することが、今日のリーダーの仕事である。バーチャルワークやハイブリッドワークの文化はすでに存在するという知識が、その役に立つはずだ。


HBR.org原文:3 Tenets of a Strong Remote Culture, December 22, 2020.