2. チームを重視する
マーカス・バッキンガムとアシュリー・グッドールの研究によれば、人はどの会社で働くかよりも、自分がどのチームに入るかを、はるかに気にする傾向があるという。
このことは、仕事のほぼすべてが小規模チームによって遂行されるコンサルティング会社においては、特に顕著である。したがってコンサルティング会社は、全社的な文化に加え、優れたチーム文化の構築にも最大限の時間と労力を注いでいる。
マッキンゼーは常に、世界各地に散在する約5500のチームを擁している。これらのチームの多くは複数のオフィスから集められているため、物理的な一つの場所に縛られていない。相当数のコンサルタントは――シニアレベルの者たちは特に――地理的に分散した複数のチームに属している。
したがって、チームのやり取りの多くはバーチャルにならざるをえない。これは、コロナ禍によって移動が制限されるずっと以前からである。
こうした事情により、全社的文化の構成要素として、何千ものチームごとに「ミクロな文化」を築き維持するという課題が明確化されてきた。これらのチームは常に、編成と再編を繰り返しながら変化するため、ミクロな文化の形成プロセスもそれに応じて流動的だ。
コンサルティング会社における「アジャイル」なプロジェクトベースの環境では、社員は自分のチームのミクロ文化の形成という創造的課題に、直接的かつ実践的な形で参加する。
具体的には、各プロジェクトの開始時に独自のチーム憲章を策定する。これは、会議をどう組み込んで実施するか、仕事をどう分担するか、どんな方法で意思決定をするのか、どのようにフィードバックの授受を行うのか、バーチャルと対面のやり取りをどう組み合わせるのか、個々人のスタイルと嗜好をどう尊重するのか、などを規定するものだ。
要するに、どんな文化に基づいて仕事をするのかを決めるわけだ。新しいチームを編成するたびに、これを自己永続的なプロセスとして行うのである。
コンサルティング会社のリーダーは現在、ミクロな文化という概念を強化するために、自社の最も優れたチームはどれか、その理由は何かを把握することに尽力している。グーグルのプロジェクト・アリストテレスから、心理的安全性と会話における話者交替を特徴とするチーム形成の重要性も学んでいる。
しばらく前にマッキンゼーは、隔週でチームバロメーターを開始した。どのチームが優れた成果を上げ、どのチームが苦労しているのかについて、頻繁かつタイムリーな知見を得ることができるアンケートだ。
このバロメーター(デロイトでは似たような仕組みをパルスチェックと呼ぶ)の狙いは、コンサルタントが「私はこのチームで、自分と同じ価値観を共有する人たちに囲まれている」「チームメイトは私を後押ししている」と心から思えるようにすることだ。
このような思いは、会社の文化の強さを、ほかの何よりも有意義に反映する。各チームは自分たちのチームバロメーターの結果を受け、協働のあり方をめぐって浮上した、いかなる懸念にも対処できる。これらの結果は配属・人事担当マネジャーも把握しており、必要に応じて介入し、チームマネジャーに対する業績評価プロセスの一要素とする。