1. 上司の心理を理解する

 上司も一人の人間だ。誰もがそうであるように、職場で地位と敬意を得たいと思わずにはいられない。

 そのため、自分よりも部下のほうが輝いているように見えれば、みずからの地位が脅かされていると感じる。とりわけ、部下の成功により自分の評価や地位が下がると思えば、その部下を脅威と感じやすい。こうした心理が嫉妬や羨望、不満を生む。

 このような心理の状態は、心理学で「相対的剥奪感」と呼ばれる。自分を他人と比較することで自分が損をしていると感じたり、劣等感を抱いたりするのだ。

 そうした不安や怒りの感情に対処すべきなのはあくまでもその人自身だが、あなたも自分の行動に改めるべき点がないか確認したほうがよいかもしれない。具体的には、以下の点を自己点検してみよう。

・私は上司にも比較的平等にスポットライトが当たるようにしているだろうか。
・私は、評価されるべき人物が評価されるようにしているだろうか。
・私は、自分の成功の背後にある同僚の貢献を十分に評価し、感謝の気持ちを表明しているだろうか。

 これらの点を検討することを通じて、みずからの振る舞いが上司の不安を助長していないかを考えてみよう。

 2. 謙虚な振る舞いにより、上司の反応をマネジメントする

 人は誰でも、自分が成功すれば、みずからの野心、やる気、スキル、能力のおかげだと考えたがる。実際、その通りだったとしても、素晴らしい環境と機会に恵まれたことも忘れてはならない。

 そこで、上司のサポート、メンタリング、スポンサーシップ、抜擢への感謝の気持ちを上司に伝える必要がある。それも上司との1対1の会話の場だけでなく、上司が重んじている利害関係者の前でも感謝を表明することがきわめて重要だ。

 たとえば、あなたの仕事が評価されたり、大人数の会議で称賛されたりした時は、このように言ってみよう。「ここで申し上げたいのは、今回の成功のかなりの部分が上司の支援、そして上司が与えてくれた機会のおかげだということです。特に◯◯氏(上司の氏名)がこの取り組みに挑むよう励ましてくれたことに感謝したいと思います。このたびいただいた評価は、私が行ったことだけでなく、このプロジェクトを実現するために下された決定すべてに対するものだと思っています」

 忘れてはならない。あなたが示す謙虚さと感謝の念は、嘘偽りのないものでなくてはいけないのだ。

 可能であれば、上司による支援の実例となる出来事やエピソードを紹介したり、難題にぶつかった時に上司がどのように助けてくれたかを語ったりしよう。ネットワークづくりや成長の機会、そして重要なプロジェクトに携わるチャンスを与えてくれたことに感謝の言葉を述べよう。