HBR Staff

完璧を目指そうとするほど、それができずに落ち込んでしまう。自分の失敗を過度に責めて、身動きできなくしまうことさえある。さまざまな精神的な打撃から回復するには、セルフ・コンパッションが欠かせない。自分に優しくするなど、単なる甘やかしではないか、ネガティブな側面に目を向けないのは逃避ではないかといった誤解も多いが、困難な状況でも最善の決断を下すために必要なスキルだ。本稿では、セルフ・コンパッションを身につけるために効果的な「セルフトーク」の具体的な技法を紹介する。


 自分にとって最悪の批判家は、えてして自分自身だ。不安や不満を感じた時、私たちは他者に受け入れてもらえると思うのではなく、辛辣な口調で自問自答する。

 私が、プレゼンテーションを台無しにしてしまった。自分以外のメンバーは専門的なスキルが高すぎて、話についていけない。今日も残業で遅くなれば、子どもたちは激怒するだろう──。

 批判はみずからを改善しようとする動機になると、私たちは誤解している。自分を批判する際は、いつも以上に完璧主義になる。セルフ・コンパッションを持って自分に語りかけるのではなく、疑念や不安、あるいは不満に対する自己防衛として、自分の行動に求める基準を引き上げるのだ。

 セルフ・コンパッションは、グループへの参加を促すとともに、失敗に対する適応力の高さに関連している。セルフ・コンパッションを身につけている人は、人間関係の破綻やキャリアの挫折といった精神的な打撃から、上手に回復することができる。

 自分に思いやりを示す方法の一つが、セルフトークだ。セルフトークとはどのようなもので、どのように機能するのだろうか。