よくある誤解
続いて、陥りやすい落とし穴やセルフトークをより自然に受け入れるためのヒントを紹介する。
・セルフ・コンパッションのあるセルフトークは、感傷的で大げさになる:あなたは、セルフトークとはニューエイジのようなものだと思っているかもしれないが、そうではない。「親愛なる自分」と呼びかける人もいるが、私には無理だ。
自分に対して優しく訴えかけるような口調を見つけよう。自分がリアルに感じる言葉を使えば、自分の言葉をより信頼できるようになる。
・セルフ・コンパッションのあるセルフトークは、それだけでうまくいく:思いやりを持って自分に語りかけることは、単独の戦略ではなく、ほかのスキルと組み合わせて行う。たとえば、困難なタスクを達成可能な大きさサイズに切り分けるプロジェクト管理スキルと、セルフ・コンパッションを組み合わせる。
・セルフ・コンパッションのあるセルフトークは、瞬時に習得できる:友人や自分の子どもに語りかけるように、自分に語りかける。これはセルフ・コンパッションの一般的な助言の一つだが、すでに思いやりのある話し方ができることが前提だ。それができる場合には、そのスキルを活かせるかもしれない。
まだ思いやりのある話し方を練習している最中だという場合には、思考の反芻や自己批判、自分に対する厳しい感情の引き金になりやすい状況に対応する言葉を、具体的な状況に応じて準備しておく。
・セルフ・コンパッションは、ポジティブシンキングである:セルフ・コンパッションを実践するには、「自分ならできる!」といった一般的な激励以上のものが必要だ。
多くの場合、まずは「自分が望んでいるほど、自分はうまくやれていない」ことを認めなくてはならない。そのうえで、そうした困難な感情は誰にでもある普遍的な経験だということを理解して、自分に合った思いやりの戦略を考える。
たとえば、疑わしいしこりの検査を待っている時は、自分の不安を認めつつ、より多くの情報を得られるまでは楽観的に考えようという気持ちが必要かもしれない。たとえば、こんなふうに言うことができる。
「問題があるとわかるまで、心配しすぎないことにしよう。もちろん怖い。でも、前もってすべての場合を想定する必要はない。必要な情報をすべて得られたら、自分には正しい判断ができる自信がある」