自分の子どもに手本を示す
自分自身のコンフォートゾーンを超えて物事に取り組む姿を、あなたの子どもが目にする機会が増えると、困難に直面した時に感情的にどのように振る舞うか、親として手本を示す機会も増える。
そんな時は声に出して言ってみる。「こんな経験は初めてだ。緊張している。指示書を2回、読んでからやってみよう」「行き詰まってしまった。いったん休んで、明日また挑戦しよう」。あなたの戦略を言葉にして子どもに聞かせるのだ。自分の難しい感情を受け入れて、それを抱えながら生産的な方法で前に進む手本を示す。
・幼い子どもに:うまくいかない時に、自分の考えや感情とどのように向き合うかという手本を示す。たとえば、私は4歳の子どもとジオラマづくりなどの工作をしながら、自宅や庭にあるさまざまな材料を試してみる。うまくいく時もあれば、うまくいかない時もある。私はこんなふうに言う。
「YouTubeの人みたいにうまくいかないね。彼らは私たちよりたくさん練習しているし、材料もたくさん持っている。私たちなりにがんばって、家にあるもので工夫してみよう」
・ティーンエイジャーに:あなたが3回も4回も挑戦してようやく成功した経験や、自分より優れたスキルを持つ人たちと一緒に仕事をした時の話をする。聞く耳を持たないように思えても、何かしら伝わるはずだ。子どもが自分の感情を受け入れる手助けをするために、自分の経験についてあらためて考えることもできる。
「先週、先生は自分に何を期待しているのだろうと考えて、気持ちが混乱したことがあったよね。私も今日、仕事で同じことがあったんだ。きみの時のことを考えてみたよ。同僚が求めている通りのことを自分はできていないとわかっていたけれど、実際に何が足りないのか、よくわからなかった。つらかった。どうすればいいのか悩んだけれど、最後は自分の気持ちがわかった。きみが経験したのと同じだね。あのような不安定な気持ちを乗り越えることは、楽しくはないけれど、誰にでも起こることだ」
子どもは、自分の親がネガティブな感情や疑念を経験することはないと思う必要はない。親はみずからをコントロールすることができて、困難な感情を抱えていても、いつもそばにいて安全を守ってくれる。そう信頼できる必要があるのだ。
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セルフ・コンパッションのあるセルフトークは、あなた自身が経験する困難だけでなく、あなたの子ども、あるいは学生や従業員を支えなければならない問題も含めて、数々の難しい状況に対処する手助けとなるだろう。
効果的に実践するために、本稿で紹介した例を参照しながら、自分に合った具体的な方法で、セルフ・コンパッションのあるセルフトークの習慣を身につけてほしい。