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忙しいからとデスクで食事を済ませたり、会議続きで昼食を抜いたりする。在宅勤務に移行してからは、同僚と昼食に出かけることもなく、PCの前で「ながら食べ」になってしまうことも少なくない。だが、リモートワークであれ出社勤務であれ、昼休みをきちんと取ることが正常化されれば、誰にとっても利益になると筆者は指摘する。健康的な食事や適切な休憩によってストレスやバーンアウトを減らすだけでなく、チームメンバーと過ごす時間を通じて信頼関係を醸成し、組織の有効性を高めて、最終的には業績向上にもつながる。本稿では、リーダーが昼休みを正常化するための具体的な処方箋を提示する。


 以前、自分が考える「充実した人生」について語る機会があった。2019年のことだ。振り返れば、2019年と2020年ではかなり様子が違ってしまったが、私の答えはいまも変わっていない。

「仕事の日もきちんと休憩し、昼食を取る。それがほぼ毎日できれば、充実した人生だと思います。デスクで食べるのではなく、会議や仕事をしながらでもなく、誰かと一緒に交流しながら、あるいは自分自身と対話しながら、マインドフルに食べるということです」

 私は2021年、この習慣を強化する決意でいる。

 リモートワークに移行してからというもの、お昼に仕事をいったん離れ、食事を取ったり、散歩に出かけたりするという決意を貫くことは、ほぼ不可能になっていた。

 誰もが苦労の多かった2020年に何とか折り合いをつけ、「新しい日常」を心がけながら2021年の計画を立てるにあたって、私はこう付け加えたい。「きちんと昼休みを取る生活に戻ろう」。リモートワークの場合はもちろん、いずれかの形でオフィスが再開して実際に顔を合わせる場合には、特にそうすべきだ。

 北米の労働者は働きすぎであることが知られている。2018年の平均休暇取得日数は17.4日、未消化日数は合わせて7億6800万日分に上る。

 しかも、これは有給休暇を与えられた幸運な人々の話でしかない。米国は不名誉にも、OECD加盟国の中で唯一、連邦政府によって有給休暇の支給が義務化されておらず、有休の取得が1日も保証されていない国である。

 また米国の労働者は、昼食の時間を返上して仕事をしている。実際、労働者の62%が自分の席で昼食を取ると答えている。

 調査によれば、リモートワークのおかげで、会議やメールのやり取りが増え、1日当たりの労働時間は平均48.5分増えたという。

 私は昼休みの習慣、つまり自分の席以外で食事をして、友人とおしゃべりしたり、散歩に出かけたりすることを昔からずっと守ってきたにもかかわらず、2020年の大半は、気づけばPCの前で「ながら食べ」になり、きちんした昼食も散歩も省くという悪習に甘んじてしまっていた。