シンガポール人にとって、昼食の時間は昔から神聖なものであるため、私にとってもそれは残念なことだった。シンガポールでは実際、ほとんどの会社の近くにホーカーセンターのような、手軽でさっと食べられる比較的ヘルシーなコストパフォーマンスのよい店があり、チームランチにうってつけの条件が揃っている。

 お昼時に、さまざまな人種、職種、役職の人々が一緒に食事をしているのを、パンデミック下でさえ、頻繁に目にした。1グループの上限人数など、感染対策の行動制限はあるものの、人と集まって一緒に過ごす時間をつくり、安全に配慮しながら食事をともにすることは、シンガポール人労働者にとって変わらず重要なことだ。

 リモートワークでも、ランチは少人数のグループに分かれて一緒に取るというチームの話も聞く。当面、外食という選択肢が考えにくい他国の労働者も、休憩を取り、マインドフルに昼食を取り、できればチームメンバーかチーム全員とバーチャルであっても交流すると決めることを心からお勧めしたい。

 従業員がきちんと昼休みを取れるように、彼らの心理的安全性を担保するのはリーダーの責任だ。マネジャーは、自分のチームがそのことによってペナルティを与えられたり、生産性が低いと見なされたりしないように、昼休みを取ることを当然だとする組織環境をつくる必要がある。

 昼休みを取ることが正常化されれば、誰にとっても利益となる。

 北米の従業員を対象に実施されたある調査では、日常的に昼休みを取っている従業員は、仕事の満足度や生産性、自分の職場を人に薦めるかどうかといった指標に基づくエンゲージメントが高かった。また最近の調査によれば、チームで昼食を取る消防士は、それを「チームが効果的に機能し続けるための主要な柱」と見なしていた

 賭けてもよいが、チームの有効性を高めることで、さらに業績を上げられる企業はもっと多いはずだ。昼休みを正常化することは、その手始めとして最適である。

 その目的が、ストレスやバーンアウト(燃え尽き症候群)の軽減であれ、チームビルディングの促進、あるいは長時間労働と生産性を同一視しない組織文化の醸成であれ、効果が期待できる。

 そうした効果を実現するには、雇用者は以下に紹介する方法で、職場に全社的な昼休みの文化を醸成すべく主導するとよい。