燃え尽きを管理する
燃え尽き症候群に陥ってから回復するより、最初から回避するほうが容易な場合が多い。そこで、早期に兆候を見つけて悪化を防ぐ戦略、あるいはすでに燃え尽きてしまっている場合に回復するための戦略を以下に紹介しよう。
あなたがこのプロセスを部下に適用する場合、自分が最初に「酸素マスク」を着けるのを忘れないようにしよう。みずからが仕事の負荷に押し潰されそうだと感じているなら、他者を効果的に助けるのは不可能に近い。
●兆候を見つける
受動的な燃え尽きは、能動的な燃え尽きに発展し、さらに症状を悪化させることが多い。たとえば、失敗したという感覚が飲酒につながり、それが極度の疲労を招き、そのために同僚に対して嫌味を言うようになり、最終的に職場で感情を大爆発させるおそれがある。
部下の小さな兆候に目を配り、いつもと違う言動があればそれに気づくことができるように、ふだんから人柄をよく知るための努力をする。
「いま、最もストレスを感じている問題を一つ挙げてください」といったシンプルな質問によって、定期的に従業員の「体温測定」をすることは、一定のプレッシャーを取り除くことにつながる可能性がある。
●対策を講じる前に熟考する
燃え尽き症候群の兆候に気づいた場合、まずは自分自身と部下の両方の一時停止ボタンを押す。そして、「たったいま、何が起きたのか。なぜ起きたのか」と自問しよう。
立ち止まり、自分が部下の燃え尽きの一因になっていないか考える。状況を考えると、非現実的な期限をあなたが設定したのかもしれないし、あなた自身の燃え尽きが忍耐力の欠如やぶっきらぼうな態度につながっているのかもしれない。
それから、部下の話に耳を傾ける。「たったいま、何が起きたのか。なぜ起きたのか。私はどうすれば助けになれるだろうか」と聞いてみよう。燃え尽きの悪化を防ぐには、小さな問題に時間をかけて、しっかりと理解したうえで対処することだ。
●大局的な視野を持つよう努め、部下にも推奨する
次に、幅広い視野を持つよう努めることが欠かせない。どの行動を取るか決断する時は、立ち止まり、大局的に物事を見つめることが何よりも重要になる。
いつも忙殺されて時間がないのならばなおさら、しっかりと時間をかけて、本当に重要なタスクとプロジェクトはどれか、さほど重要でないのはどれかを評価する時間を確保しなくてはならない。
部下に対しても、大局的な視野を持ち、問題を別の視点からとらえ直すリフレーミングの方法を教えるとともに、どのリクエストは断ることができ、どのアクションは先延ばしにできるか見極める方法をコーチングする。
部下がこうしたスキルを習得できるよう手助けし、自分で判断を下す裁量を与えると、部下は自分で仕事をコントロールしている感覚を得ることができる。その感覚がなければ、燃え尽きを引き起こす大きな原因になるだろう。