リーダーが文化を方向付け、主導する

 目下の転換期、リーダーは厳しい選択に直面している。何もしないか、既存の文化を強化する新たな方法を考え出すか、またはリモートワークへの移行を好機として文化を大幅に刷新するか、である。

 皆が同じ場所にいる場合、リーダーは往々にして、従業員がいる前で行動と価値観の手本を示すことで、暗黙のうちに文化を伝える。その同じ暗黙のシグナルはリモートでも存在するが、感知して解釈するのはより難しい。

 リーダーは、自分たちがどんな文化を望むのか、それを伝えるにふさわしいシグナルは何か、そのシグナルをいつ、どのように、歪曲させることなく送るのかを決めなければならない。また、望む文化におけるどの要素が定着しやすく、どれがそうでないかを評価する方法も必要だ。

 組織の進化に応じて、あるいは新たな働き方に伴うニーズに合わせて、いまこそ文化的要素を刷新する好機となりうる。

 IBMのラモローは、在宅勤務への移行によって社員たちがいかに「少し人間らしくなった」かを説明してくれた。リモートで同僚に会うと、自宅に招かれているような気分になり、社員はお互いの生活についてはるかに多くの側面を知るようになったという(生活の様子、自宅の壁の色、家族、ペットなど)。IBMが意図的にそう仕向けたわけではないものの、この効果が続くことを彼女は望み、一部社員の職場復帰後もこの要素を文化に長期的に組み込む方法を模索している。

 スラックの幹部らはリモート勤務を機に、自分たちをより親しみやすい存在にして、脆さを見せ、個人と個性をもっと明白に重んじる方向へと文化を変えようとしている。全員参加の会議は以前は月に1度、1時間の堅苦しい形式だったが、いまではオンラインで隔週だ。幹部は自宅からつなぎ(膝によじ登ってくる子どもが主役になることも時折ある)、20分の近況報告と、「何でも質問してください」という対話集会型のセッションを組み合わせている。

 重要なのは、それぞれの居場所にいる社員たちと顔を合わせ、オープンな姿勢を見せることだ。そして、リーダーは社員に外部の顧客への共感を示すよう求めるだけでなく、社内でも同じように共感を文化として醸成することが肝心である。