
リモートワークやデジタルコミュニケーションの浸透により、相手の話を聞く行為は、画面上の文字を読むという行為に置き換えられた。素早く行動することが善とされる状況では、メッセージの内容をしっかりと理解したうえで、明確かつ思いやりのある返信をすることが疎かになりがちだ。その結果、不要な誤解や混乱が生じ、同僚とのコミュニケーション不全が加速する。読解力や文章力がバーチャルな生活に不可欠となったいま、優れたコミュニケーションとは何かを改めて考えるための3つの質問を紹介する。
今日の職場に、誤解は付き物だ。同僚とのコミュニケーション不全に陥る傾向は避けられないと諦めてしまいがちだが、私たちは常に明快かつ思いやりに満ちた接し方を目指すべきである。リモートワークやデジタルコミュニケーションへの依存度が高まっているいまは、なおさらである。
そうした傾向を改善するには、まず何から始めるのがよいか。それは注意深く読み、明確に書くことについて学び直すことである。
ついこの間まで、私たちは会議室のテーブルの向かい側にいる同僚と情報を共有し、人々のアイデアを聞き、それに答えていた。いまでは、そのようなやり取りの大半は、メールやテキストメッセージ、インスタントメッセージのような、文字として書かれた(キーボードで打たれた)形で交わされる。つまり、相手の話を聞くというかつての行為は、画面上の文字を読むという行為に取って代わられたのである。
ここから問題が生じると、言語学者でアメリカン大学名誉教授のナオミ・バロンは指摘する。
画面上で読むと、紙に印刷されたものを読む時よりも理解度が下がる。きちんと読むために必要な時間をかけずに、ざっと目を通して要点を探す傾向があるからだ。そして、いざ返信しようとすると、書くべきメールの数に負担を感じて、いい加減になったり、素っ気なくなったり、混乱を招いたりする返答を送信する結果になる。
読解力や文章力が私たちのバーチャルな生活に欠かせないものとなっているいまこそ、優れたコミュニケーションとはどのようなものか、思い出すべき時だ。
最新の著書Digital Body Languageでも説明している通り、慎重に読むことは新たな形の傾聴であり、明確に書くことは新たな形の思いやりである。
そこで、次にメールを送る時にはいったん立ち止まり、次の3つの質問を自分自身に投げかけることをお勧めしたい。