支援する環境
最後に、ターゲットを絞った教育やマネジメントプログログラムに加え、マネジャーや組織が片頭痛を持つ従業員を支援する職場環境を構築する方法があることも明らかになった。
第1に、スポーツジム、産業保健サービス、一般的な検診プログラムなどの既存のリソースを拡大し、より利用しやすくすることができる。筆者らが調査した2つの研究では、毎日の運動のためにジムを利用しやすくするだけで従業員の片頭痛発作の頻度が減少したことや、片頭痛発作を即日治療するために産業医を配置することで、発作に伴う生産性の低下が大幅に減少したことが示された。
第2に、職場の雰囲気をよくするための典型的なベストプラクティスも、片頭痛の悪影響を大幅に軽減することができる。筆者らが調べた研究では、仕事の満足度や自律性が高く、上司からの社会的支援が多いほど、片頭痛を持つ従業員の生産性が向上したのに対し、ストレスの多い職場は生産性の低下につながっていた。
第3に、片頭痛の誘因を減らしたりなくしたりするために、組織が職場環境を変えることのできる具体的な方法がある。明るい光、大きな音、強い匂い、空気の質の悪さ、水分補給やトイレ使用の制限は、片頭痛を持つ労働者の生産性低下と一貫して関連していた。
ブルーライトフィルターや自然光源、人間工学に基づいたデスクへの投資、静かな場所の確保、新鮮な空気や冷水機、トイレへのアクセスを容易にすることは、片頭痛を持つ従業員だけでなく、おそらくそれ以外の従業員についても、生産性を大幅に向上させることができる。
マネジャーはまた、匂いに敏感な従業員のために、強い香水をつけたり、キッチンやカフェテリアではなく仕事場で食事をしたりすることを控えるよう、他の従業員に求めることも検討すべきだ。
* * *
今日では、従業員の10人に1人以上が片頭痛に悩まされ、痛みだけでなく、アブセンティーイズムやプレゼンティーイズムに伴うコストも膨大になっている。幸いなことに今回の調査で、従業員の片頭痛を予防し、片頭痛発作が起きた時の生産性への影響を軽減するために、企業にできることがあることが明らかになった。
片頭痛の教育プログラム、マネジメントサービス、そして健康的でトリガーのない職場環境を組み合わせることで、マネジャーは片頭痛を持つ従業員をサポートし、全体的な生産性を向上させることができる。
HBR.org原文:Migraines Are a Serious Problem. Employers Can Help., February 24, 2021.