●話してくれたことに感謝する

 まず、部下があなたに話していることを称える。「最初の会話で進展がなくても、話してくれたことへの感謝を必ず伝えましょう」と、グリーンウッドは言う。ただし、大げさにしないこと。できるだけ、ふつうの話題として扱わなければならない。

 あなたはこのような会話が初めてだとしても、よくあることなのだと、ゴールドバーグは言う。「『これは深刻な問題だ』という反応を見せてはいけません。そういう反応は、相手の恥ずかしさを助長して、今後について不安にさせます」。さらに、感情的になりすぎてもいけない。「あなたの反応に部下を巻き込みたくありません」

 あなたの反応は、部下との関係に即したものであるべきだ。「親密な信頼関係を築いていない相手なら、友人のように振る舞わないこと。すでに親しい関係なら、よそよそしい態度を取るべきではありません」。つまり、それまでと同じように接し、同じように話をしよう。

 ●耳を傾ける

 部下が言いたいことを言えて、どのような柔軟さや対応を求めているのかを伝えやすくする。「先入観や判断を交えずに、積極的に耳を傾けましょう」と、グリーンウッドは言う。言葉ではない合図や仕草に気をつける。「あなたが神経質になったり、気まずそうにしたりしていると、部下は気後れするでしょう」

 好奇心を持つことはかまわないが、質問を浴びせてはいけない。特に、必要以上の情報を引き出そうとするような質問に気をつけること。

 たとえば、「彼らが抱えている精神的な症状の名前」や、どのくらい前から悩んでいるのかを、あなたが知る必要はないだろうと、ゴールドバーグは言う。どこまで話をしたいかは、相手の意思に任せる。

 ●サポートしたいという気持ちを伝える──ただし、約束しすぎない

 相手を(パフォーマンスが高い人なら特に)サポートするために必要なことは何でもすると言いたいところだが、慎重に話を進めよう。部下は念のために報告しているだけで、仕事量やスケジュールを調整してもらう必要は感じていないかもしれないと、ゴールドバーグは言う。思い込みは禁物だ。

 そして、休暇や仕事のスケジュールの変更を求められても、過剰な約束はしない。むしろ、あなたは彼らと協力して問題を解決したいのだという気持ちを明確に伝える。たとえば、「あなたがこのチームと組織の大切なメンバーであることは、理解してもらえただろう。これから一緒に解決していきましょう」と話す。

 この最初の会話で、すべての答えをすぐに用意する必要はない。あなたが完璧な反応ができなくてもかまわない。何ができるかを考えていこう。「話してくれてありがとう。少し時間をかけて理解してから、X日に返事をします」と言うこともできる。相手が心配しなくていいように、次に話をする時期を具体的に決める。

 ●自分の話にすり替えない

 あなたや身近な人が似たような経験をしている可能性もあるが、あなたの話ばかりしないこと。「症状は人によって違う」ことを忘れてはいけないと、グリーンウッドは言う。「私の不安は、ほかの人の不安とは違うのです。相手がどんな経験をしているのか、それが仕事にどの程度影響しているのか、理解しているつもりにならないこと」

 とはいえ、個人的な話をすることで、よくあるふつうの話だという雰囲気をつくることもできる。個人的な話ができる関係なら、希望を持てるような話をする。状況が改善しなかった例や、仕事を辞めざるをえなかった人の話はしない。あなたやほかの人は大丈夫だったのだから何も問題はないと、相手の経験を軽視してはいけない。

 ●秘密を守る

 秘密を守るために最大限の努力をするが、人事部門に相談する必要があるかもしれないことを、部下に確認する。本人は気が進まず、人事記録に何かしら残ることを心配しているようなら、「最終的には伝えざるをえないかもしれないが、最初はあなたの名前を出さずに、一般論として話すこともできる」とも言えるだろう。

 人事部門に伝えなければならない理由を、本人に説明するのも役に立つと、グリーンウッドは言う。たとえば、差別を受けないように法的な保護を得られる、会社のすべてのリソースを利用できるようになる、可能な限り個別の対応ができる、といった理由がある。

 あなたの居住地によっては、メンタルヘルスの症状を開示されたら、本人が対応を求めていなくても人事部門に報告する義務がある。地元の規制に明るくない人は、部下の名前を出さずに相談するとよい。

 ただし、部下のメンタルヘルスに関する情報は、できる限り自分の中に留めておく。「自分の精神的な支えを求めて、あるいは仕事のシフトを変える理由を説明するために、誰かに話したくなるものです。しかし、本人が明示的に許可しない限り、他の人に情報を開示してはいけません」と、グリーンウッドは言う。

 部下が人に話してもいいと認めたり、むしろ周りに言ってほしいと頼んだりする時もある。その場合も、本人の希望で話をしていることを明言しなければ、あなたが陰口を言っていると思われかねない。