
目の前のキャリアが自分の思い描いていたものとは違う時がある。コロナ禍で状況が複雑化した現在、思いも寄らぬ選択を迫られる場合もあるだろう。だが、最終ゴールに直結する道から外れたからといって、すべてを失うわけではない。最適ではない状況であっても、長期的な目標を意識し続け、すぐ元の軌道に戻れるように、いまできることがある。本稿では、キャリアのトレードオフに悩み、苦しむプロフェッショナルに向けて、困難でも自分を高めるための4つの戦略を紹介する。
プロフェッショナルのほぼ全員が、自分のキャリアパスが思い描いていたものとは違うと思う時がある。たとえば、レイオフ(一時解雇)、配置転換や転勤、あるいは健康上の理由や家族の介護が挙げられるだろう。
当然のことながら、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、状況は複雑化している。特に働く親にとっては、複数のストレス要因に一度に見舞われている可能性が高い。
短期的に見れば、状況は明白だ。配偶者が仕事を失えば、あなたが稼ぎを得なくてはならない。子どもの学校で対面授業ができなくなれば、誰かが家にいて子どものバーチャル学習を支援しなくてはならない。そして、あなたが子ども、あるいは他の家族の主たるケアギバーであれば、突発的な事態に対応できる柔軟性を確保する必要がある。
残念ながら、そうした緊急のニーズに対処するには、自分自身の長期的目標をいったん後回しにしなくてはならない時がある。
コロナ禍が始まってから1年が経過し、柔軟性のある時間を確保するために、待ち望んでいた昇進の機会を見送ったプロフェッショナルは数多い。ただ稼がなくてはいけないという理由で、本当は離れたい領域のポジションを引き受けたり、自分の経験から見れば簡単すぎる仕事や面白さを感じられない仕事でもイエスと言ったりしてきた。
こうした決断はつらいものだが、短期的には仕方がないのかもしれない。ただし、目標に向けたキャリアパスから一時的に離れたからといって、すべてを失うわけではない。長期的なキャリアパスを意識し続けて、自分にとって正しいと感じられる軌道に迅速に戻れるようにすることが欠かせない。たとえ忙しい毎日を送っていても、それは可能だ。
筆者は2021年9月に著書The Long Game(未訳)の刊行を予定しているが、執筆のためにリサーチをする中で、このようなトレードオフに直面したプロフェッショナルがキャリアパスの支配権を取り戻すための、さまざまな方法を発見した。その中から、あなたが実行できる4つの戦略を紹介しよう。