●これまでと違う業界を検討する
同じような職種でも、会社が違えば、ワークカルチャーや労働時間の要求が大きく異なる場合がある。
たとえば、株主重視の上場企業ではプレッシャーが大きく、全身全霊を傾ける働き方が求められ、雇用が不安定なことも多い。企業形態がパートナーシップの場合や未上場企業の場合、従業員に関して長期的な視点を持つことが多い。
非営利の公共セクターは一般的に、報酬こそ営利企業に比べて劣るが、その代わりに柔軟性を高くしていることが多い。たとえば、4大会計事務所の監査のポジションではおそらく、州政府機関の監査のポジションに比べると、より集中的に働くことが求められているだろう。
このように報酬は減るが、規則的な時間で働けることは、あなたにとって歓迎すべきキャリアシフトかもしれない。
●経済的なトレードオフを認識し、調整する
在宅勤務の時間を長く確保できる仕事は、キャリアパスが平坦になりやすく、所得も少ないことが多い。こうしたキャリアパスを選ぶ場合、配偶者とともにその経済的影響を評価し、それでもなお、家族を十分養えるようにする必要がある。
そのためには現在の経済状態を厳しく精査すると同時に、生活の簡素化や大幅な支出削減が必要になるかもしれない。家族で腹を割った話し合いが必要だ。あなたの選択は、配偶者のキャリア、住宅やチャイルドケア、大学の学費などの大きな支出、そして家族旅行や子どもの習い事にも影響を与える可能性がある。
関係者全員が話し合いに参加することが欠かせない。筆者の経験では、多くの家族が、父親のストレスが低下して質の高い時間を増やせるなら、喜んで支出を減らしている。
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働く父親をキャリアの罠から抜け出す最善の方法は、自身のキャリアパスについて棚卸しをして、みずからが理想とする父親像と両立できるかを評価し、自分の優先順位に合ったキャリアの選択をすることだと、本稿で紹介した男性の事例は示している。
※本稿は、HBRワーキングペアレンツシリーズで刊行されるAdvice for Working Dadsからの抜粋である。
HBR.org原文:What Working Dads Can Do When a High-Pressure Job Asks Too Much, April 05, 2021.