限りある時間を有効活用する

 時間は、ソロ・ペアレントにとって大きな敵だ。1日の時間が足りないのだ。そこで、どこで時間を節約できるかを見極め、物事の優先順位をはっきりさせて時間を使わなくてはならない。

 すべての課題を実行することは不可能なので、何かを犠牲にせざるをえない。具体的には、家の中が散らかったままになったり、子どもをテレビの前で長時間過ごさせたり、犬の散歩時間が短くなったり、テイクアウトで夕食を済ませる機会が増えたりするかもしれない(これらはいずれも、家族のウェルビーイングに悪影響を及ぼすものではない)。

 時間は希少な資源だ。ソロ・ペアレントはその点をよく理解しているので、細切れの時間を活用して、子どもと接したり、仕事を処理したりしている。通勤時間やスポーツの練習時間、病院などの待ち時間、その他の半端時間に、公私の課題を詰め込んでいるのだ。

 ソロ・マザーでライターのジョニ・コールは、こう述べている。「30分あれば、それなりに作業がはかどります。それを積み重ねていけばよいのです」

 ソロ・ペアレントは、厳しい時間的制約の中で仕事の生産性を維持することにより、職場での効率性や仕事への献身についての古い常識を覆しつつある。

 時間をやりくりして子どもの送迎をする母親や、子どもが病気の時に在宅勤務をしなくてはならない父親は、時間的制約の少ない働き手と同じくらい、職場に貢献している。というより、ソロ・ペアレントたちのほうが大きく貢献していると言ってもよいかもしれない。

 ひとりで子どもを育てる経験は、仕事との健全な関わり方に目を向けるきっかけにもなる。ソロ・ペアレントは、そのような子育ての経験を通じて、自分にとって何が真に重要かを再確認し、解放感と充実感を味わい、貴重な学びを得ることができる。

ユニークな居住のあり方を確立する

 ロサンゼルス在住のソロ・マザーは最近、ESMEドットコムに次のような投稿をした。「私はシングルマザーで、ティーンエージャーの娘が2人います。そのうち1人は、家を出て大学で学んでいます。いま私は、ほかのシングルマザーと一緒に家を借りて住めないかと思っています。(中略)2人で交互に子どもの世話をしたらどうかと思うのです」

 ソロ・ペアレントの家庭は、昔ながらの核家族の形態では、金銭面でもロジスティクス面でもうまくいかない場合がある。そこでソロ・ペアレントの中には、誰かとルームシェアをしたり、親族と一緒に暮らしたりすることにより、住宅コストを抑え、子育てを助け合おうとする人が少なくない。

 アトランタに住むカリーナ・ウィーヴァーは、こう述べている。「地下室のある家を買って、母親を呼び寄せました。生活費はすべて私が負担し、母には育児と家事を手伝ってもらっています」

 カナダ在住のジャネール・ハーディーは、共同生活を望むルームメートと暮らすために、大きな家を借りた。コストを抑えることと、子育てを手伝ってくれる人手を確保することを目的に、交換留学生も受け入れた。一方、リサ・ベンソンは、エアビーアンドビーを通じて自宅の一部を旅行者に提供し、家計の足しにしている。

 ソロ・ペアレントは、親族や友人との共同生活を自力で始める場合も多いが、それを支援するコアボウドという全国組織もある。この組織が掲げるミッションは、「利害と子育て哲学が一致するシングルマザーたちを結びつけ、住居をシェアし、一緒に子育てを行えるようにすること」だ。

 このようにほかの人と一緒に住むことに、心理面と経済面で恩恵があることは明白だろう。しかし、メリットはそれだけではない。学校が休みの日にどうやって子どもの世話をするかなど、子育てのロジスティクス上の問題に対処するうえでも役に立つ場合が多い。